大阪・私鉄3
(南海・阪堺)

現在、24軒掲載(うち6軒は、閉店確認済)
★難波駅(南海本線、大阪市営地下鉄御堂筋線・四つ橋線・千日前線)
「南海そば」  実食日:2007/1

  3階北口改札を出て左の突き当たり(エスカレーター脇)。間口は狭いが奥に長く、とにかくいろいろな意味で豪快な店である。
  この店の特徴は、とにかくつゆにある。昆布出汁というか、とろろ昆布そのもののような味が強く出ていて、美味しい。厨房を見ると、おばちゃんが直径1mはあろうかという巨大な寸胴に布巾を張り、そこにできたての出汁を豪快に流し込んで漉していた。つまり、自家製の出汁を使っているということだ。駅そばでこのような光景が見られる店は滅多にない。いや、街なかのそば店でも出汁取りは客の前ではやらないから、これは貴重なシーンだ。比較的つゆの製法が簡単な関西風だからこそできる、店頭仕込み。麺は普通な感じだがつゆだけのために通い詰めてもいいと思った。もう一つの豪快ポイントは、割り箸にある。この店では割り箸をノーマルな割り箸立てに入れているのだが、何段にも重ね、1mほどもあろうかという山を築き上げている。以前にテレビで見た「ジャンボパフェ」のような割り箸の山が、店内のあちこちにある。減るたびに足すのが面倒なのか、インパクトを重視しているのか分からないが、ハデハデ関西の本領発揮というところか。値段は、具一品系は290円が主流。かけは230円。関西では珍しく納豆を使った「納豆かき揚げそば」(320円)がある。飲み水が麦茶になっているのも嬉しいワンポイント。なお、2階改札内にも同名店があるが、この日は店休日だった(実食は元旦)ため、詳細不明。


※閉店していました。現在、同駅改札内に同名店がありますが、この店舗が移転したわけではありません。もともと2店舗あったのが、1店舗に集約されたという形です(2013/8、確認)。

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「なんばうどん」  実食日:2010/8

  駅を出て東、アーケードの商店街(なんば南海通)に入ってすぐ、左側。厨房をぐるりと取り囲む椅子付きカウンターのみの店。実食は朝、比較的早い時間帯だったのだが、入れ替わり立ち替わりで客が入り、なかなか賑わっていた。
  人気の秘訣は、とにかく値段だろうか。大阪、特にミナミの立ちそば店は値段が極端に安い傾向があり、中でもこの店は群を抜いている。なにしろ、かけは160円なのだ。トッピングを乗せても、200円を少し超えるくらいでおさまってしまう。ご飯ものやラーメンなどもあり、いちいち安い。こんな店が地元にも欲しいものだ。
  味覚的にも、悪くはない。無難系で、「阪急」に近い印象。ややザラッとした茹で麺に、鰹節系の出汁が前面に出ているつゆ。水滴型をした大判の天ぷらも、「阪急」のものに似ていた。そば・うどんの変わりメニューは特にないが、丼ものでは「木の葉丼」、麺類ではきしめん、そうめんなどがある。

※値上げしていました。現在、かけ170円です。種物も少しずつ上がっていますが、月見・きざみ220円、天240円、スタミナ(天玉)280円など、まだまだありえない安さです。ラーメン(320円)もあります(値−1点。2016/1、確認)。

※消費10%増税に伴う値上げはありませんでした。現在も、かけ170円、月見・きざみ220円、天240円、スタミナ280円、ラーメン320円です。ただでさえ驚異的な安さだったのに、増税値上げもしないなんて、まさに神様みたいな店ですね。応援しないと(2019/11、確認)。

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「南海そば」  実食日:2013/8

  3階改札を入って左側。立ち食いカウンターのみの店で、キャパは12〜3人くらいだろうか。この駅には、かつては3階改札外にも「南海そば」があった(2つ上に記載)のだが、その後閉店し、改札内の1店に集約されている。改札外店舗の名物だった「割箸タワー」も、こちらの店舗で健在。ついでに言うと、爪楊枝もタワーになっていた。
  麺は茹で麺で、袋入りのものを客の前でビリッと開ける。これといって特徴を感じない、平均的な味覚。つゆは、後味はあまり残らないものの、出汁はしっかり利いている。実食が昆布そば(290円)だったので全体的に昆布風味が強くなっていたが、つゆ自体はカツオ出汁メインで作っていると思われる。価格は全体的に安めで、スタンダードな具一品系は290円のメニューが多い。かけは230円。変わりメニューに、紀州南高梅そば380円がある。梅干しのトッピング自体は関西では珍しくないが、紀州南高梅を謳うのは珍しい。また、オクラと辛味大根そば(450円)というのもある。関西では(山芋以外の)ネバネバ具材を用いる店が少ないので、これは珍しいと思う。なお、3階の店舗が健在だった頃にあったたこ焼そばは、販売を終了していて現存しない。ご飯ものは、おにぎり程度。立ち食い専門店だから、定食類の需要はあまりないのかもしれない。


※値上げしていました。現在、かけ240円、スタンダードな具一品系は300円〜です。オクラと辛味大根そばは、終了しています。もともと期間限定だった可能性が高そうです(値−1点。2017/12、確認)。

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「はやみ」  実食日:2013/8

  南改札を出て右すぐ。この駅の中では、南改札はかなりマイナーな存在なのだが、この店は意外と賑わっている。周辺にファストフード系の飲食店がなく、需要が集中するのだろうか。厨房をぐるりと囲む椅子付きカウンターのみで、席数は15くらい。
  麺は、ツルツルと喉ごしの良い茹で麺。つゆは風味が繊細で、人によっては「薄い」と感じるかもしれない。つゆを全部飲む私としては、特に問題ない濃さなのだが。かけ250円(かまぼこ入り)、天350円など。変わりメニューに、炙りチーズカレーうどん(550円)がある。この手の店にしては珍しく、カレーうどんはカレー粉をつゆに溶いて作る。しっかりと煮込んで、最後にとろけるチーズを乗せてバーナーで炙って溶かす。アツアツで、見た目の印象ほどコッテリしていないので食べやすく、美味しい。夕方以降は酒類も扱い、どちらかというと一杯飲み屋のような雰囲気になる(夕方以降も、麺類を扱う)。


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「松屋」  実食日:2016/1

  難波南海通りに入って、上記「なんばうどん」を越えて東へ30秒、左側。激安の店が2軒、すぐ近くでしのぎを削っている形だ。かけうどん・そばは、ともに170円。ものすごい価格競争。これじゃあ、おいそれと値上げはできないね。露出店という感じではないけれど、間仕切りはない。間口部分に、中途半端にビニールカーテンが掛けられている。ザッツ、大阪スタイル。食券制で、客席は椅子付きカウンター15席。ミナミではそばよりもうどんのイメージの方が強いのだが、意外とそばもよく売れるようで、同じくらいの数の番重が積み上げられていた。
  麺は、やや太めながらも食感軽めの茹で麺。わりと色黒で、茹で麺にしてはそばの香りがある。個人的には、結構好みの麺だ。つゆは、昆布出汁であっさり。あまりクセがないので、万人受けしそうな風味だ。かけ170円、ハイカラ180円、月見220円、天250円など。ハイカラ(東京で言うところのたぬき)が180円とは、恐るべし、大阪。変わりメニューに、油かす350円、玉子天220円。異様に安い「玉子天」も気になるところ。ご飯ものやセットメニューもいろいろある。「親子丼&かけ」のセットが390円って、なんだこの価格破壊は。実食は、月見そば。卵は先乗せで、卵の上からつゆを注ぐため、白身白濁。正式な作法に則って、刻み海苔を添える。220円でここまでやるか? ネギは青で、あらかじめ刻まれたもの(冷凍ではなく、生のもの)を仕入れている。ちょうど実食中に業者が配達に来たので、目視確認済み。刻み揚げと一緒に配達していた。ちなみに、ネギ多めは有料(10円)なので注意を。唐辛子は一味。この味覚には、七味でも悪くないと思うが、一味の方がよりよく合うと思う。なにはともあれ、この値段でお腹を膨らませることができるのはありがたいことだ。大阪以外では、ここまで安い店はなかなかないだろうなぁ。


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「錦」  実食日:2016/8

  南海の南口を出て左(ウインズ方面)へ1分、難波中交差点(高速高架下)を対角に渡ってすぐ。都市高速高架下にある。場所がよいこともあり、ネットで検索すると膨大な情報がヒットする有名店だ。厨房を囲むL字型椅子付きカウンター10席と、厨房に背を向けた壁際のカウンター(椅子2・立5くらい)。
  麺は、少しネットリと粘着する茹で麺。わりと重厚な食感で、一瞬「冷凍麺かな?」と思ってしまう。つゆの出汁は、口当たりはカツオで、後半昆布が追い上げてくるもの。食べ始めの頃には「ん、阪急そばに近いかな」と感じるのだけれど、食べ進めるにつれてまったくの別物になる。飽きさせないという意味では、こういうグラデーションタイプの出汁も良いね。かけ210円、天280円、スタミナ350円など。変わりメニューに、にゅうめん280円、ホームランそば590円がある。ホームランは、おそらく全部乗せ系だろう。かつてこの近く(現・なんばパークス)に大阪球場があったことの名残だろうか。また、ラーメン310円という設定がずいぶんと安く感じる。
  実食は、スタミナ(天玉)そば。天は水滴型の大きなドンベで、川エビくらいのサイズのエビが2尾入っていた。これも「阪急そばと同じかな?」と一瞬思うのだが、阪急そばの天よりもボコボコしているというか、細かい揚げ玉を寄せ集めて固めたような感じが強く出ているように感じた。玉子は先乗せで、白身が少し白濁し、つゆに濁りが見られた。総じて、すべての要素が水準以上だと思うのだけれど、ちょっと麺とつゆの相性がイマイチかなと感じた。このつゆには、もっとノーマルな茹で麺の方が合うような気がする。東京で言えば、興和の茹で麺あたりがベストマッチしそうな気がする。この店では、そばよりもうどんを選択した方が満足度が上がりそうだ。


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「丸一屋」  実食日:2017/8

  最寄りの改札は、地下鉄御堂筋線の南南改札(出口専用改札)になるだろうか。出て右、狭い通路を抜け、階段をいくつか上った先の7番出口を出て、直進30秒。アクセスの便が良いのは、御堂筋線と、南海。なんば駅は、東京の大手町駅のようにスクエア状になっているので、たとえば四つ橋線からだと途方もなく遠い。徒歩5分ゆうにを超えてしまうだろう。道路でいうと、パークス通(阪神高速の高架下)を北上して、難波西口交差点を超えた先の左側。鋭角な角地で、行けば分かりやすいところなのだけれど、文字での説明がちょっと難しい場所だ。古い佇まいを残した店で、客席は立ち食いカウンターのみ。キャパは8人くらい。背後スペースの狭い店だが、出入口が2か所あるので出入りはわりとスムーズ。現金制で、先払い(代引きではない。注文時に支払う)。
  麺は、わりとグレーの濃い茹で麺。粘着なし、モチモチなし。わりとそばらしい食感で私好み。つゆは、わりと酸味が強く出ていて、塩気も強いもの。出汁はカツオと昆布の合わせだと思う。主張がはっきりしていて分かりやすいつゆだ。かけ220円、具一品系は300円〜。店頭のお品書きに「舌代」と記載されているのが面白い。どこかで同じ表記を見た記憶があるなぁと思ってデータベースを調べたら、勝浦駅(千葉県)だった。こちらはすでに閉店しているので、現役としては今のところ「丸一屋」が唯一ということになるだろうか。実食は、天300円。天は水滴型ドンベで、川エビサイズのエビ2尾入り。「阪急そば」の天によく似ている(ちょっと薄いようにも思うが)。悪くない。
  訪問は平日の9:00頃。そろそろ朝の繁忙時は終わろうかというタイミングだと思うのだが、先客4・後客5と盛況だった。全員、40歳以上と思われる男性。完全な男社会だ。ちなみにこの店、24時間営業している。この手のレトロな立ちそば店が24時間営業していることに驚く。東京でいうと、神田「天亀そば」のような立ち位置か。貴重な存在だと思うので、大切に利用していきたい。


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「南海そば」  実食日:2017/12

  南海の改札内、2階コンコース。改札内としては比較的人通りの少ない、コンコースの南側にある。人通りは少ないのだけれどここに駅そばがあることを知っている人は次々にやってくるので、店内は結構混んでいる。店舗名は「難波2F店」。3階にもあるから、「2F」を付けているのだろう。客席は、厨房を囲むL字型立ち食いカウンター10人分くらいと、窓際に椅子付きカウンター5席。傾向から言うと、サラリーマンは立ち食いカウンター、旅行者は椅子付きカウンターに陣取る人が多い。この棲み分けが、わりとはっきりしている店舗だ。
  麺は、ちょっと水膨れしたような、やわらかい茹で麺。食感的にはそばっぽくないのだけれど、それでもそれなりにそばの香りが感じられる。つゆは、カツオ出汁が強く出たもので、酸味も伴っている。関西のチェーン店としては、もっともカツオ出汁を強く出しているのが「南海そば」だろう。かけ240円、きざみ300円、かき揚げ320円など。味付き油揚げを乗せたメニューは、そばは「たぬき」、うどんは「きつね」で、300円。変わりメニューに、合わせ技系であろうスペシャルそば480円がある。また、あんかけ系のメニューが3種類設定されている。きのこあんかけ380円(期間限定っぽい)あたりは、なかなかお得に感じる設定だ。玉子とじあんかけになるようなので、関西風にいうと「けいらん」ということになるか。関東では冬場に期間限定で設定する店がある程度のあんかけだが、関西では通年扱う店が多く、浸透度の高さがうかがえる。実食は、かき揚げそば。かき揚げは揚げ置きで、ちょっとニチャニチャ食感。冷凍ものっぽい形状・具材感だが、食感的に店揚げではなさそう。これだったら、ドンベの方がいいかも。割箸タワーが健在。立ち食いカウンターが結構長いので、3F店よりも絵になる。迫力あるタワー群の写真を撮りたいなら、3Fより2Fへ。
  訪問は平日の7:45頃で、先客9・後客7。この時間帯は観光客よりもサラリーマンの方が多いので、立ち食いカウンターばかり混雑して、椅子付きカウンターには余裕がある。立ち食いカウンターが埋まりきったときだけサラリーマンも椅子席に流れてくるのだが、皆さん食べるのが早いので、立ち食いカウンターが全部埋まりそうでなかなか埋まらない。絶妙なキャパになっているように感じた。客数・回転率とも高水準で、他店にとって参考になる要素が多い教科書みたいな店舗だと感じた。


※2018/5、公式取材にて再食。たぬきそば300円と昆布そば300円を連食しました。たぬきそばは、味付き油揚げのトッピング。つまり、関東でいう「きつねそば」です。油揚げは薄めなのにふっくら。どぎつい味付けではなく、出汁で炊いているためつゆによく馴染みます。昆布そばは、とろろ昆布ではなくおぼろ昆布のトッピングです。しっかりとした質感のある昆布で、旨味と酸味がなかなか強烈。つゆの味を大きく変えるので、つゆ本来の味を確かめたい場合には避けたほうがいいかもしれません。他店舗にはつゆマシンが導入されるなか、難波2階店だけは現在も手作業でつゆを作っています。3階との味比べも楽しいのではないでしょうか。名物の割箸タワーも健在。タワーは全店舗にあるそうですが、難波駅以外の店舗ではエコ箸も導入されているため低めになっています。高いタワーを見たいなら、難波駅の2店舗がオススメです。

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「天政」  実食日:2018/10

  なんばウォークのB17出口を出て右。すぐの路地(ビックカメラ脇)を右に折れて30秒、アーケードのある「なんばセンター街」を右折してすぐ右側。ひとことで言うと、なんばセンター街の北側。開放された2つの出入口の感じと黄色い看板が昭和の面影を残す店。客席は3方向から厨房を囲む椅子付きカウンターのみで、ざっと数えたところ17席くらい。店頭に待ち客行列の方向案内表示が出ているので、昼時には満席になるのだろうか。回転が速そうだから、10人くらい並んでいても5分ほどで入れるとは思うが。口頭注文、現金代引き制。
  麺は、エッジのない茹で麺。少々ぬめりがあり、そばの香り少々。つゆは、カツオ系の出汁が前面に感じられるが、酸味・エグミはなし。出汁の方向性としては好きな部類。ただし、塩気がずいぶん勝っているので、完飲派は少々注意が必要かもしれない。かけ220円。具一品系は270円〜で、天は300円。実食は、天そば。天は水滴型ドンベ。というか、甘エビくらいのサイズのエビ(尻尾付き)が入っているので、衣をたくさんまとわせたエビ天と呼ぶべきかも。パッと見には「阪急そば」の天に似ているように思えたが、エビの感じが全然違う。別ものだ。わりと質感があり、悪く言うと少し固い天ぷら。これといって突き抜けた特徴はない一杯だが、無難な美味さもある。塩気が強いから、夏場に食べれば特に美味しく感じられるのではないだろうか。
  平日8:00頃の訪問で、先客2・後客3。先客については何を食べているかチェックしきれなかったが、後客が3人ともそば注文だったのが少々意外。ミナミではうどんの方が優勢だと思っていたので。朝早い時間帯で通行人が少ないためか、アーケード商店街内まで車で入ってきて、店前に横付けして食べているツワモノもいた(おかげで、なかなか外観写真が撮れなかった)。東京では、ちょっと考えにくい光景だ。


※消費10%増税に伴う値上げはなかったもようです。現在も、かけ220円、具一品系270円〜、天300円です(2019/11、確認)。

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「浪花麺乃庄 つるまる饂飩」  実食日:2019/3

  南海の南口を出て右、高速高架下の難波中交差点を越えて2つめの信号(元町2丁目交差点)を左折して30秒。地図で見ると南海南口よりも地下鉄の31号出口あたりの方が近そうに思えるのだが、実際に行ってみると歩行者が渡れない交差点があったりしてとても行きにくかった。ご注意を。店舗名は「難波中店」。例によって讃岐うどんシステムで、麺注文→麺受取→セルフトッピングチョイス→有人レジで精算→好みでフリーの天かすを、という流れ。客席は多く、テーブルと椅子付きカウンターを合わせて50くらいありそう(正確に数えきれなかった)。
  麺は、冷凍っぽい歯ごたえ。その中に、少しフカフカした食感が混在している。香りはまずまず。まぁ、悪くはない麺だ。つゆは、雑味の少ない淡麗系。これも悪くないし、安定感がある。各種天も揚げ置きながらベチャッとはせずにサクサク感が残っており、これまた安定感がある。すべてに要素が一定のレベルでまとまっていて、極端なハズレを引くことがあまりないチェーンだ。ただ、今回に関しては、フリーの天かすがやや油ギッシュだった。これは、タイミングによる誤差が大きく出る。なぜなら、壺にたくさん入っているときに上の方を取れば油がしっかり切れているのに対し、残り少ない状態で下の方を取れば沈んだ油にまみれてしまうため。無料で提供しているものだから、ここはあまりケチをつけないでおこう。価格は外税方式(以下の記載は税抜価格)なので、注意を。かけ230円、きざみ290円など。実食は、きざみそば+コロッケ(90円)+バッテラ(250円)。刻み揚げは、一度湯煎してからトッピングしていた。はて、他の店舗ではどうだっただろうか。「つるまる」の刻み揚げは比較的歯ごたえが強くてつゆに馴染みにくいものなので、湯煎した方がいいと思う。湯煎してもなお、つゆにはあまり馴染まなかったのだけれど、いくらかは一体感が出る。コロッケは、甘みが強くてネットリ食感のもの。見た目には男爵っぽい色合いだったが、メークインも混ぜているのだろうか。そしてバッテラは、涙ぐましいまでの極薄カットのサバを使用。この内容で3貫250円は、決して安くないと思う。箸は割箸。
  日曜20:30頃の訪問で、先客2・後客7。先客数と後客数に大きな差があるのは、後客に4人グループが含まれているため。「鶴呑み」対応店舗ではあるのだが、夜間は比較的空いているようだ。


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★今宮戎駅(南海本線) ※高野線の列車のみ停車。要注意
「上方うどん」  実食日:2021/10

  駅を出て右へ。2つめの信号(パークス通り)を渡ってから右折して3分、左側。大阪木津地方卸売市場に併設されたような飲食街「なんば木津まち横丁」内。地下鉄御堂筋線の大国町駅(1号出口)や南海なんば駅(南口)も徒歩圏内だが、今宮戎が微妙に最寄りとなる。プレハブのような簡素な建物に年季の入った木製の引き戸という、なんともアンバランスな出で立ち。口頭注文の後払い制。客席は、厨房と対峙する椅子付きカウンター5駅か6席と、厨房に背を向ける形の立ち食いカウンター5人分くらい。店内は、プレハブより木製引き戸の方がマッチする雰囲気。昭和中期の大衆食堂といった趣だ。
  麺は、中太の茹で麺。断面偏平形で、少しモソッとした噛み心地。つゆは、大阪ではわりと甘みが強い方だろうか。出汁は昆布中心と思われるが、ほんのりとカツオ系の香りも感じられる。美味しい部類だ。アツアツなつゆを丼になみなみと注いでくれるのが、つゆをたっぷり飲みたい人にとってはありがたいだろう。店内のお品書きに「かけ」はなく、いちばん安いのがきざみと月見で400円。味付き油揚げのトッピングは、そばはたぬき、うどんはきつねとなる。実食したのは、かすそば500円。油かすはさほど多くはないのだが、ひとつひとつのカットが大きめで食べごたえがあるとともに、獣臭さもなかなかのもの。つゆ本来の味わいをだいぶ上書きしてしまうけれど、これはこれで美味しい。油かすとともに、少量の天かすもトッピングされる。天かすは粒の大きさが不揃いなもので、ひと目で天ぷらを揚げる際に出た副産物だと分かる。色白で、香ばしさより旨味が強いタイプだ。ネギは青(万能タイプ)。箸は割り箸。総じて、特徴がありながら尖った感じはなく、食べやすくて満足に値する内容だった。雰囲気的にも好きなので、また食べに行きたくなりそうだ。
  平日7:30頃、夜行バスでなんばに降り立ってすぐの訪問。市場併設だけあってこの時間でも先客が3人いた(後客は0)。卸売市場で働く人々が日常的に利用しているほか、夕方以降には近隣のサラリーマンや学生もたくさんやってきそうな立地だ。なお、コロナ対策のパーティッションは、設置されていない。


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※新今宮駅は、大阪環状線1に掲載。
★萩ノ茶屋駅(南海本線)
「千成屋」  実食日:2013/3

  駅を出て右、アーケードの商店街に入って1分、左側。この界隈では3軒の駅そばの存在を確認しているが、このうち唯一土曜日の早朝に営業していたのがこの店。厨房を囲むL字型椅子付きカウンターのみの店で、キャパは10くらい。いわゆる「あいりん地区」から近い萩ノ茶屋駅付近には独特な雰囲気があり、この店の周囲にも近寄りがたい雰囲気の店や自販機コーナーなどがたくさん並んでいるのだが、この店に関しては衛生面等に特段の問題はない。周囲の雰囲気が雰囲気だけに、入りづらいと感じる人が多いかもしれないが。
  麺は、「普通」としか形容できないような茹で麺。冷凍麺を選択することもできる(20円増し。実食は茹で麺)。生or茹で(または冷凍)を選択できる店は多いが、選択肢が茹でor冷凍の店は珍しい。つゆは塩気が薄く、花かつおの香りが前面に出ている。麺にあまり風味がないので、個人的にはもう少しつゆに塩気が欲しく感じる。値段は安く、かけ190円。具一品系は、250円のメニューが多い。変わりメニューというか、関西らしいメニューに、けいらん270円、あぶらかす420円、すじ400円がある。「けいらん」とは、卵とじのこと。また、全品20円増しで「あんかけ」にすることができる。これも面白い趣向だ。


※暖簾が変わっていました(写真は左:旧、右:現)。少々値上げして、現在はかけ200円、具一品系270円〜になっています。けいらん290円、あぶらかす440円、すじ440円です。「すじ」の値上げ幅が少し大きいのが、ちょっと気になります(値−1点。2016/3、確認)。

※値上げしていました。現在、かけ210円、具一品系280円〜です(2018/7、確認)。

※消費10%増税を経て、値上げしていました。現在、かけ230円、具一品系300円〜です(値−1点)。けいらん330円、あぶらかす490円、すじ490円。「松屋」と距離的にかなり近いのですが、方向性が少しだけ違うでしょうか。「松屋」は麺単中心、「千成屋」はご飯ものに力が入っている印象です。全体的に安く、たまご雑炊320円、納豆ごはん230円、卵とじ丼320円などをそばと合わせて注文するのもよさそうです(2021/10、確認)。

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「松屋」  実食日:2016/3

  駅を出て右(アーケードの商店街)へ2分、左側。上記「千成屋」の少し先にある。関西エリアの駅外系チェーンとしては、「都そば」の次に店舗数が多いと思われるのだけれど、固有のロゴや看板などがないので、あまりチェーン店舗っぽさを感じさせない。すごく安いのが「松屋」の特徴で、中でも大阪アベノエリアの店舗は特に安い。いわゆる“あいりん地区”にあるこの店舗は「一番安い設定になっているのではないか」と期待したのだけれど、それほどか極端な安さではなかった(それでも、水準よりはだいぶ安い)。間仕切りのない半露出店。食券制で、客席は椅子付きカウンター9席。「千成屋」よりも少し駅から遠いためだろうか、「千成屋」に比べてやや空いている傾向。むしろ、反対側の今池駅(阪堺線。徒歩5分くらいのところにある)方面から自転車で食べに来る人が多い印象だった。
  麺は、わりと黒みの強い茹で麺。「安田製麺」の麺箱が見える。茹で麺にしては少し粘着質で、目隠しして食べたら茹で麺・生麺の判断が少し難しいかもしれない。つゆは、出汁と塩気のバランス感がよい。めちゃくちゃ美味いという感じではないのだけれど、麺との相性が良く、食が進む。大きな丼に多めに注いでくれるのも嬉しい。同じ「松屋」でも、三ノ宮とはメニューも値段も味わいも全然違う。面白いチェーンだ。かけ200円。具一品系は270円〜で、ベーシックなメニューについては近くにある上記「千成屋」と申し合わせたかのような設定になっている。実食は、天270円。天はエビ天一尾で、甘えびよりも少し大きいくらいのサイズ。衣は、厚いことは厚いが、十二単という感じではない。「エビ入りドンベ」というよりは、「エビ天」だ。値段を考えれば、きわめて良心的。これとは別に「野菜かきあげ」というメニューもある(270円)。変わりメニューに、牛脂かす450円、肉吸い(ご飯付き)450円、にゅうめん270円。にしん390円が安く感じる設定か。玉子とじ270円も、手間を考えるとずいぶん安い。揚げ玉フリーのサービスあり。テイクアウト需要が多いのだろうか、厨房内にスチロール製の丼が堆く積まれていた。


※改装していました(写真は左:旧、右:現)。というか、アーケードの柱の位置から推して、場所が少し動いているかもしれません。値段等に目立った変化はみられません(2018/7、確認)。

※消費10%増税を経て、値上げしていました。現在、かけ230円、天310円、かす480円、肉吸い(ご飯付き)530円です(値−1点)。肉吸いにはみそ味もあり、560円。新たに登場したと思われる変わりメニューに、八重山そば(チャーシュー入り)360円。八重山そばというと沖縄そばを連想しますが、こちらは日本そばなのでしょうか。ちょっと気になります。廉価なので、一度試してみたいですね(2021/10、確認)。

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★天下茶屋駅(南海本線、大阪市営地下鉄堺筋線)
「丸天家」  実食日:2006/8

  南海の改札を出て右、カレー屋の隣。有人レジで注文時に支払う方式で、駅そばというよりもセルフうどんに近いスタイルの店である。実際、そばよりもうどんの方がメインの扱いになっており、店頭の品書きにも「うどん」しか表記されていない。が、ちゃんと全メニューそばにも対応している。
  ここの麺は、恐らく茹で麺だと思うのだが、食感的には乾麺のようだった。少し粉っぽくて、歯に触るネットリ感もある。値段は、カマボコが入ってかけ200円、ちくわ(天)280円、きつね300円、かきあげ330円、肉400円。変わりメニューに、しょうが(天)280円。おにぎり程度のご飯ものもある。


※閉店(「つるまる饂飩」化)していました(2013/2、確認)。

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「つるまる饂飩」  実食日:2013/2

  南海改札を出て右前方。上記「丸天家」の跡地。店頭のメニューで表記されているのはうどんのみで、「そば」の表記は一切ない(幟に小さく表記されている)のだが、実際には全メニューそばにも対応している。「つるまる」は大阪中心部に店舗を展開する大手チェーン店だが、実はエキナカ店舗は珍しい。ハッキリと駅舎内にあるのは天下茶屋のみで、あとは梅田の阪急かっぱ横丁がエキナカと言えるかどうか、というくらい。その意味でも、この店舗にはちょっと注目している。店内は広く、テーブル席が2人×4、椅子付きカウンターが12、そして立ち食いカウンターが20人分くらいある。
  精算は讃岐うどんスタイル。店に入って右手に長いカウンターがあり、トッピングやらサイドメニューやらがズラリと並んでいる。お好みのものを自分で取って、麺を注文して、有人レジで支払い。麺の注文口がはっきり決まっていないようだが、店員がたくさんいるので、入ってすぐに注文してしまった方がスムーズ。麺は、ツルツルとした食感。冷凍だろうか。つゆはあまり塩気が強くなく、繊細な風味。総じて、美味しい。かけ220円、月見270円、きつね280円など。東京人から見れば安めの設定だが、実は大阪、特にミナミから西成区にかけてのエリアではそれほど安い部類ではない。ただ、衛生面を考慮すれば、街なかの激安店よりもこちらに足が向く人が多いかもしれない。この辺りの街なか激安店は、よそ者にはハードルが高いコアな雰囲気であることが多いので。天かすフリーは嬉しいサービス。

※値上げしていました。現在、かけ230円、月見290円、きつね320円。すべて税別表示になっていますので、ご注意ください(値−1点。2017/12、確認)。

※2018/6、公式取材にて再食。かけそば+鶏ささみ天+紅生姜天(計450円。価格は税別。以下同)と、中華そば400円を、続けて実食。さすがにお腹いっぱいになりました。紅生姜天は、例によってスライスの串揚げ。生姜のドライな刺激と酢漬けの酸味が、容赦ないです。鶏ささみ天は、少しパサつくものの柔らかく、まずまず。それよりも印象深かったのは、中華そばの方。うどんつゆをベースに作っているのですが、ゴマ油を主体としたタレを加えるだけで、あら不思議、完全な中華テイストになります。まるで魔法。しかも、なかなか美味いです。トッピングは、ハム・ゆで卵・海苔。チャーシューではなくハムを乗せるのが個性的。スープとの相性を考慮したのでしょうか。それとも、調達しやすかったのかな? とても美味しいので、次回は中華そばに合いそうな単品トッピングを探して、組み合わせて食べてみたいです。

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★住之江駅(南海本線)
「日光」  実食日:2009/11

  改札を出て、左前方の階段を下りて右すぐ。下関に本店があるうどん店の出店で、駅そばというよりもじっくりと落ち着いて食べるタイプの店。値段も高めだし、配膳付き&後払い(伝票)だし、対象に含めるかどうかでかなり悩んだのだが、他に対象になる店がない駅だと思うので、特例適用対象とした。
 この店では、そば・うどんは店内で打っている旨を記した貼り紙が出ている。しかし、そばに関しては特別の印象はなかった。美味い部類には入るが、乾麺のような食感というか、歯ごたえが弱いというか。余計なお節介だと思うが、もう少し太い麺に仕立てたらいいのではないか、と感じる。つゆは、甘みがやや強め。天かすフリーで、飲み水は麦茶。カマボコが入ってたぬき(きつね)450円。なお、同じ南海(高野線)の金剛駅にも「日光うどん」といううどん店があるが、どうやらこちらは別系統である様子。

※2018/5、再食。まず、外観的なことから。通路の斜め向かいに移転して、全面改装しています(写真は左:旧、右:現)。以前にも増して駅そばっぽい雰囲気は薄くなり、シックでモダンな店舗になりました。今風というか、肉たっぷりのつけそばが出てきそうなムードです。店内にも、サッカー日本代表のユニフォームが飾ってあったり、なにかと今風になっています。値上げして、現在はたぬき(きつね)など500円のメニューが最安になっています。ベース部分の味は、以前と変わっていないと思われます。店内製麺の細麺は、二八で打ったもの。荒々しさのない、とても上品な麺です。今回は公式取材ということで、諸般の事情でカレーそば680円を選択。カレーはドロッとしたタイプですが、麺に直接ルーをかけたという感じではなく、いったんスープとカレーを合わせてから片栗でとろみをつけたようなイメージです。手が込んでいます。スープが冷めにくく、しかもまろやかさが増し、これはこれで美味しいです。
  天かすフリーのサービスがあるので、500円メニューでも結構賑やかな一杯にできそうです。変わりメニューに、下関のフグを使ったものがいろいろあります。ふぐ天そば950円、ふぐ天丼980円、ふぐから揚げ定食1080円から、てっちり1500円、ふぐのひれ酒550円まで。ここまで下関のフグにこだわっているのは、下関で創業した店だからでしょう。2009年の初訪時にはフグ料理はなかったと思いますが、このときにはまだ住ノ江と下関の2店舗体制だったとのこと。その後下関の店を閉めて住ノ江一本になったことで、こちらでフグ料理を扱うようになったそうです。事実上の統合ですね。今回は取材対象外だったので遠慮しましたが、そのうち試してみたいと思います(付+2点)。


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★石津川駅(南海本線)
「苅田屋」  実食日:2013/2

  改札を出て直進、ガード下のショッピングモール「ショップ南海」の一番奥右側。駅外側にも出入口がある(写真は駅外側から撮影)が、テイクアウト窓口は内側にしかない。吉野家タイプの椅子付きコ字型カウンターがメインで、隅の方に4人掛けテーブルが1つポツンと出されている。席数は、全部合わせて18。
  麺は、ぬめり具合といい微妙に芯がある感じといい、乾麺のような食感だった。生麺だとしたら、茹でアンダー&すすぎ不足。すすいでいる気配がなかったので、本当に乾麺かもしれない(未確認)。つゆは典型的な関西風で、色は薄いが味はしっかりしている。ほんのりと甘みもある。かけ300円、月見350円、きつね390円など。全品20円増しでテイクアウト可なのだが、よく見ると天だけはなぜか逆の設定になっている(店内450円、テイクアウト430円)。これは完全に間違いだと思うのだが……。店内で天を食べてしまった私の立場は? ちなみに、天はエビ天。甘えびサイズを衣で4〜5倍に膨らませている。大阪は大阪でも、和歌山寄りなんだなぁと実感する。揚げ玉フリー。


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★泉大津駅(南海本線)
「泉大津そば」  実食日:2008/8

  駅北口に隣接(通路で直結)しているビル(ショップ南海泉大津)の3階。ビル内の通路にほぼ露出した店。駅舎でないビルの2階以上に駅そば店が入っているケースは非常に珍しい。店の存在が認知されにくく不利な立地条件であると思うのだが、そのあたりは随所に看板や貼り紙を出す、ロータリーから見える窓に大きく「うどんそば」と書くなど、工夫を重ねて頑張っている。
  この店は調理法がちょっと変わっている。オーダーすると、一人分のつゆを小鍋にとって沸かし、その中に茹で麺を放り込んで湯通しする。麺を上げ、湯切りはせずに丼に入れ、つゆを注ぐ。この手順だと、麺を一度湯から上げる必要があるのかどうか、疑問ではある。味覚的には、これといった特徴は感じられない。麺はシマダヤの茹で麺のような食感・味。天は丼の口径に近い大判だが、クレープのように薄っぺらく、具材は小エビのみ。天かすがフリーになっているのが嬉しいポイントだ。かけ240円、月見・わかめ等290円、天330円。定食類もあるが、600円程度と高め。朝には、そば・うどんにおにぎりが付く朝定食(320円)を設定している。

※線路高架化に伴って駅舎が建て替えられました。ショップ南海が入っていたビルも建て替えられ、駅舎とは直結していないマンションに。1階に南海電鉄系のショッピングモール「N・KLASS」が整備されましたが、その中にこの店舗はありませんでした。残念ながら、閉店です(2019/1、確認)。

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★忠岡駅(南海本線)
「家路」  実食日:2008/8

  各駅停車しか止まらないマイナー駅で、「これはっ!」という店に出会った。北改札(下り線側)を出て右すぐにあるこの店は、味良し値段良しサービス良し個性良しの、非常に印象深い店だった。
  味覚面の特徴は、硬質で歯ごたえがしっかりしている太麺。生麺の「コシ」とは違うのだが、食後に「食った〜」と満足できる食感だ。値段も、かけ200円、山菜250円など、驚きの安さ。私は肉そばを食べたのだが、300円だった。300円で肉そばを出す店はなかなかお目にかかれないだろう。サービスもいい。ナルト様の模様が入ったカマボコが1枚入るほか、揚げ玉がフリーになっている。揚げ玉は店側で入れてくれるが、入れる量を指定できる(レンゲで2杯、など)。その他では、かき氷各種が100円からあるのもポイントだ。学校帰りの中高生の人気を集めそうだ。あと、評価には関係ないが、店内にハマショーのジャケット写真が所狭しと飾られ、ライブ映像を常時放映しているあたりに特徴がある。店主の趣味だろう。こういう店が日常生活範囲内にあれば、私は間違いなく常連になるだろう。


※閉店していました。跡地は、たこ焼き店「じゃんぼ総本家」の一部です。特徴のある店だったので、たいへん残念です(2019/1、確認)。

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★貝塚駅(南海本線、水間鉄道)
「満居人」  実食日:2008/8

  店名は「まいど」と読む。南海東口階段下にある。水間鉄道利用の場合は、駅を出て左、階段手前。ベースはボトルキープもできる居酒屋なのだが、昼は定食類の他そば・うどんも扱っている。メニューは少なく、ざる・味付きざみ・月見・とろろこんぶの4種類のみ。値段は350円均一。
  この店では、そばを注文したのに間違えてうどんが出てきてしまったため、麺については評価不能(便宜上、平均的と考えて評点をつけた)。一瞬、作り直してもらおうかとも思ったが、おばちゃんが「どうしよう…」と本格的にオロオロしてしまったので、快くうどんを食べることにした。善人を絵に描いたようなおばちゃんだ。麺は分からないが、つゆは非常に美味しい。変な固さがなくまろやかで、複数の食材から出汁をとっていそうな味だ。味付きざみは一部切れていないなど不手際も見られたが、フワフワとした食感が心地良い。焼き色のついたカマボコが2枚と、ワカメ、揚げ玉が入り、見た目にも豪華絢爛な一杯だ。細かいワンポイントとしては、唐辛子が3種類(一味・七味・柚子七味)用意されている。たった4種(ざるには使わないと考えれば3種)のメニューのためにこれだけ揃えるなんて、あっぱれだ。

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★堺東駅(南海高野線)
「都そば」  実食日:2009/11

  西口を出て、すぐ目の前の横断歩道を渡って右すぐ。大規模な繁華街の入口という好立地にある。関西でお馴染みのチェーン店だが、看板はニューバージョン。店内にはテーブル席、椅子付きカウンター、立ち食いカウンターと揃っているが、スペースは狭く、収容可能人数も10人余りくらい。
  麺は、ツルツル食感のやや太い茹で麺。「都そば」ではお馴染みのタイプだ。つゆも平均的なもので、大きな特徴はない。ただ、価格が他の「都そば」各店とは異なっている。かけ250円、スタンダードな具一品系は320円で、他店舗よりも30円程度高い設定になっている。同時期に他店舗(福島店)で確認しているので、間違いない。というか、一時期他店舗でも堺東店と同様の価格になっていた時期があり、他店舗はその後値下げしたが堺東店は値段を据え置いている、という状況なのだろう。全店舗同価格での提供なのかと思っていたチェーンだが、実はそうではなかった、ということだ。

※閉店していました。跡地は、ベーカリーショップになっています。この駅は、街の規模に比して飲食店などの数がだいぶ多いので、駅そば店にとってはやや運営しにくい環境かもしれません(2017/2、確認)。

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★北野田駅(南海高野線)
「家族庵」  実食日:2013/2

  東口を出て、ペデストリアンデッキで直結しているライフには入らずに左へ。宝くじ売り場の先にある螺旋階段で地上に降りて、右前方。椅子付きカウンター一列だけの小さな店で、ちょっと耳の遠い、いかにもな関西おばちゃんがひとりで店番していた。
  この店では、注文誤認によりそばではなくうどんを食べることになってしまったため、麺についてはコメントできない。「月見そば」と注文して、「え?」と聞き返された時点で、警戒しておくべきだったか。ちなみに、注文誤認でうどんが出てきてしまったのは、大阪の河内地方では貝塚駅に続いて2回目。河内地方でそばを食べたいときには、気をつける必要がありそうだ。つゆは、やや塩気が強めながらも、関西らしい味わいで悪くなかった。天かすフリーのサービスがあるので、天ぷらは自前で揚げていると思われる。かけ330円、月見380円、きざみ380円など。きつねが、なぜか480円とかなり高い設定になっている。飲み水は、薄〜い麦茶になっている。
  それにしてもこのおばちゃん、耳が遠いのなら放っておいてくれていいのに、私が東京から来ていると知ると興味津々に話しかけてくる。よそ者があまり入らない店なのだろう。旅先での会話は楽しいものだから、話しかけられるのは別に構わないのだが、こちらが答えるたびに「え?」と聞き返してくるのがちょっと。まぁ、関西らしいと言えばらしいし、悪気はなさそうだから憎めないんだけどね。

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※河内長野駅は、私鉄2に掲載。
※天王寺駅前駅は、大阪環状線2に掲載(天王寺駅)
★恵美須町駅(阪堺阪堺線、大阪市営地下鉄堺筋線)
「麺之庄つるまる」  実食日:2009/8

  地下鉄の1A出口を出て右へ30秒。阪堺の駅からだとちょっと遠く、堺筋を北へ4分ほど、右側。比較的新しくて綺麗な店だが、椅子付きの席はない立ち食い専門店。ベースメニューを注文→好きなトッピングを自分で乗せていく→レジで精算という、讃岐のセルフうどんスタイルを取り入れている。ただし、セルフトッピングは天ぷら系が主で、きつね・わかめ・きざみなどのトッピングは口頭注文する「ベースメニュー」に含まれている。一見客(特に関東人)には若干分かりにくいシステムかもしれない。また、従業員が一人しかいない(この時だけかも?)ため、ベースメニューだけで精算する場合、従業員は受渡口からレジまで走らなければならない。ベースメニューの受渡口では精算できない、ということ。このシステムは、最低2人以上の従業員がいる店でないと、合理的にはならない。
  味覚的には、少々モッサリした麺が冷凍を思わせる。つゆは、薄いが雑味がなくスッキリしていて飲みやすい。天かすがフリーになっている。これは嬉しいのだが、できればセルフトッピングを乗せる場所よりも手前に置いて欲しいというのが本音。なぜなら、「天かすのフリーがあると分かっていれば、天ぷら系のトッピングを外す」という人もいるだろうから。関東人にとっては馴染みにくいシステムではあるが、全体の印象としては充分リピート対象になるレベル。特に、値段が安いのが好印象。かけ200円、月見・きざみ・こぶ250円など。

※値上げしていました。現在、かけ210円、月見・きざみ・こぶ270円などです。値上げしたとはいえ、東京の店舗よりもだいぶ安い設定ですね(値−1点。2016/1、確認)。

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「阪急そば」  実食日:2011/1

  地下鉄の1B出口を出て左へ10秒。上記「麺之庄つるまる」の斜め向かいの角地にある。「こんなところに、なぜ阪急?」と思いたくなるのだが、阪急そばは阪急沿線以外の場所にもちょこちょこと店を構えている。関東で「箱根そば」が小田急沿線以外にも店を出しているのと同じ理屈か。
  味覚的には、阪急沿線店舗とは麺が異なっているように感じた。阪急沿線店舗よりもやや太く、柔らかい茹で麺。つゆは共通と思われ、鰹と昆布の合わせ出汁っぽい風味。天は巨大な水滴型。具材は甘えびサイズのエビ2尾のみ。昔よりもエビのサイズは大きくなったように思う。天を含め、スタンダードな具一品メニューは、概ね300円。変わりメニューに、「かっちん」420円(力+かやく、のようなメニュー)、和風中華330円など。朝10時まで限定の朝食セット(かけ+俵型おにぎり2個+卵焼きで380円)、学生定食380円などのサービスセットメニューも用意している。


※閉店していました。跡地は、「きりん寺」という油そば専門店になっています(2016/1、確認)。

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★北天下茶屋駅(阪堺阪堺線)
「坂出」  実食日:2018/7

  当駅は駅舎のないホームのみの駅で、上り(北行)と下り(南行)とで出口が分かれている。場所は、北行の場合は駅を出て左へ1分半、南行の場合は駅を出て右(踏切渡る)へ1分半になる。道中は車が通れないほど狭い路地で、その両脇に雑多な商店がズラリと並んでいる(半分くらいはシャッターが閉まっているが)。東京に例えると、十条のアーケード商店街から横道に入ったところみたいな雰囲気。この狭いところを抜けた先がアーケードの商店街になっており、これを入ってすぐの左側にこの店がある。南海の天下茶屋駅からでも徒歩圏内(東へ2分半ほど)。アーケードが天下茶屋駅前から店前までずっと続いているので、商圏としては天下茶屋。暖簾や店頭の置き看板に「手打」の文字が踊り、店先には麺や麺・つゆセットの販売ワゴンが出ている。チルドタイプ(丼に入っていて、お湯を注ぐだけで食べられるタイプ)のそば・うどんも販売している様子。この辺だけを見ると「高い店かな?」と思うところだが、写真入りメニューも店頭に掲示されており、安心して入店できる。客席は、テーブル席が4人×3と、厨房と向き合う椅子付きカウンターが6席。訪問時には空いていて、荷物が大きかったこともあってテーブル席に陣取ったのだが、配膳付き・下げ膳不要の後払いだった。
  そばが手打ちかどうかは確認していない(うどんは手打ち)けれど、麺種としては生麺のようだ。やや太めで、わりと硬質な歯ごたえ。香りもまずまずあり、美味い部類だ。つゆは、昆布出汁主体の淡麗系。少しカツオ系の香りも介在しており、深みを演出している。これも美味い部類だが、麺との相性という点ではやや「?」な部分もある。うどんの方が合いそうなつゆ。そばなら、あまり香りのない茹で麺の方が合うかもしれない。かけ280円、月見330円、きつね・たぬき(ともに油揚げ)330円など。天は530円と高値だから、海老の一本揚げだろう。変わりメニューに、他人580円。丼ものメニューとしては関西で馴染み深いが、そばメニューとしては珍しい。実食は、きざみそば400円。刻み揚げは、固くはないのだが、不思議な弾力があるタイプ。揚げ玉とネギは各席に置いてあり、フリーになっている。
  平日10:30頃の訪問で、先客0・後客0。店頭販売コーナーの客もなし。この時間帯は、こんな感じだろうか。ただ、隣の理髪店からの注文なのか、おばちゃんがうどんを盆に乗せて店を出て行くシーンがあった。出前みたいなもの。たぶん公式に出前を受けているわけではないと思うけれど、ご近所さんにはこのような対応もしているのだろう。ほのぼのしていて、いい感じ。


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