海 外

現在、12軒掲載(うち0軒は、閉店確認済)
★台北駅(台鉄縦貫線、台湾高速鉄道、台北MRT淡水信義線・板南線・機場線)
「湯布院本川製麺所」  実食日:2017/10

  なんだか仏教寺院のような、荘厳な建物の台北駅。日本でいうところのJRに相当する台鉄と、新幹線に相当する高鉄、そして地下鉄に相当する台北MRTが乗り入れる。台湾の一大鉄道拠点だ。ちなみに、MRTは淡水信義線・板南線・機場線の3路線が乗り入れているが、このうち機場線は少々離れたところで発着し、駅舎も別になっている(地下通路で直結)。MRT同士の乗り換えであっても、機場線が絡む場合には一度改札を出る必要がある。これがちょっとめんどい。機場線以外の路線が乗り入れる台北駅は地上2階建てで、長方形の形状。中央部分に大きな吹き抜けがあり、その周りをぐるっと回廊形式で通路が巡り、その通路に沿っていろいろな店舗が連なっている。台湾式の駅弁(臺鐡便當)や、日本式の駅弁(招来日日便當)の店もある。そして、駅舎の南西端にあるのが、「湯布院本川製麺所」だ。駅構内にあり、日本式のそばを提供する簡易的な店。台湾版の、純然たる「駅そば」だ。ちなみにこの店は、日本企業が出店しているもの。私が把握している限りでは台北市内に2店舗を構えている(もう1店舗はMRTの忠孝復興駅が最寄りになる微風廣場にあるが、未食)が、日本国内には出店していない。台湾まで行かないと食べられないジャパニーズ駅そばなのだ。システムは、有人レジで口頭注文・先払い→席で待っていれば配膳してくれる。店頭のショーケース内に天ぷらなどの単品トッピングがいろいろあり、現物を見て単品追加することができる。英語が通じるので、身振り手振りを併用すれば簡単に注文でき、ハードルは低い。客席はテーブル席が中心で、20席余りくらい。加えて、店の外側(駅通路に露出)に椅子付きカウンターが5席。カウンターで食べようと思っていたのだが、テーブルを勧められたので、従った。
  私は、牛肉蕎麥(そば。うどんは「烏龍」と表記)に、単品でエビ天を追加。麺は、茹で麺っぽい食感だが、台湾に茹で麺のそばがあるのかどうか甚だ怪しいので、冷凍麺かもしれない。そばの香りはそれほどないけれど、つゆとのマッチングは悪くない。そのつゆは、あまり出汁が利いていないもの。カツオ系はまったく感じず、どちらかというと旨み系。だけど、とにかく淡い。だから、ある程度味の強いトッピングを乗せないと、全体的にモヤッとした印象になる。その点、牛肉をトッピングすれば強烈な旨み・甘みが加わり、全体的にマイルドになって美味しくいただける。つゆ本来の味が分かりにくくなるという側面はあるけれど、どういうわけか半分くらい食べ進めたところで頼みもしないのにつゆを注ぎ足しに来てくれたので、つゆ本来の味もよくわかった。注ぎ足す際に「味は大丈夫ですか?」と聞いてきた(ここだけ日本語だったが、基本的に日本語は通じない)ことといい、どうも日本人客にはかなり気を遣っている様子だ。単品追加したエビ天も、ショーケース内に揚げ置きがたくさん並んでいたのに、わざわざ注文後に揚げたものを持ってきた。日本人に対して、クレーマーのイメージがあるのだろうか。エビ天はなかなか大きなサイズで、「エビフライ?」と感じるほどまっすぐに伸びていて衣もきれいに整えられている。ネギは、青ネギだった。値段は高く、牛肉蕎麥で170元(≒680円)、エビ天単品が45元(≒180円)。フィリピンの「富士そば」や「KOMORO dining」もそうだが、海外で日本式のそばを食べると高くつくことが多い。食材を日本から送れば輸送コストがかかるし、現地生産だと大量生産できないからやっぱり単価が高くなる。仕方ない部分だろう。メニューはわりとオーソドックスで、日本人にもお馴染みのものが多い。ただ、日本語はもちろん英語の表記もないから、注文口の上部に掲示された写真を参考にするといい。「豆皮」はきつね、「海帯芽」はワカメ、「猪排」はトンカツ。「月見」はそのまんまで卵だが、写真を見た限り温玉になる様子。ご飯ものとのセットメニューもあるが、だいたい300元(≒1200円)前後なので、ちょっと。単品の牛肉●(口へんに加)哩蕎麥(牛肉カレーそば。170元≒680円)あたりが一番高コスパだろうか。箸はエコ箸。打てない漢字が出てきたところで事後の断りになるが、台湾では一見日本で一般的に使われている漢字と同じに見えても、実は微妙に違うということがよくある(「正字」が多く使われている)。当サイトではできるだけ現地表記で記載しているが、物理的に打てない漢字(あるいは、環境依存文字のため化けてしまう漢字)については、俗字の形が極端に変わらない場合にはそれを代用し、大きく異なる場合及び俗字がない(または分からない)場合には「●(△へんに☆)」などと記載することにしている。「海帯芽」なども微妙に現地の漢字とは違っているのだが、ご了承を。
  平日17:00頃の訪問で、先客1・後客3。値段的に少々高めということもあり、決して多客という感じではない。隣には寿司屋があり、従業員は両店間を行ったり来たりしている。同経営なのだろうか。タイミングによっては、兼務ということもあるのかもしれない。営業時間は10〜22時。日本の駅そばと違って朝はやっていないので、注意が必要。なお、駅舎の2階には大規模なフードコートがある。こちらにも麺類を扱う店が入っていてなかなか楽しいのだが、全面的に写真撮影禁止になっているのでご注意を。台湾での交通系の罰金・罰則は、日本人から見ると殺人的とも思えるほどに厳しい。なにしろ、MRTの車内(というか改札内)で水を飲んだだけで、1500〜7500元(≒6000〜30000円)もの罰金が科せられるのだ。


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「花蓮扁食」  実食日:2017/11

  台北駅に直結した地下街内。西側の端っこの方、Z5出口の近く(改札から行くと、Z5出口に通じる階段の少し先)。台湾でよく見かける、間仕切りのない簡易的な大衆食堂。どちらかというと、地下街よりも「老街」(昔ながらの商店街)に多くあるタイプの店なのだが、駅そばを中心に巡っている私の目で見ると、駅ナカにこの手の店があっても違和感はない。店名のうち「花蓮」とは、台湾東海岸にある街の名。「扁食」は、ワンタン(「雲呑」と同義。台湾では「扁食」と表記する)のこと。つまり、花蓮風(?)のワンタン店ということになるか。ただ、メニューはワンタンばかりではなく、まぜそばスタイルのものを含めた麺類全般に、スープ類や一品料理なども扱っている。精算システムは、間口左側の有人レジで口頭注文・先払い→配膳付き・下げ膳不要。英語・日本語とも通じないが、レジ脇にメニュー表が出ているので、指さし注文が可能。
  実食したのは、鮮肉扁食麺(70元≒280円)。分かりやすく和訳すると、「肉入りワンタン麺」。というか、スープには薄〜い塩味がついているだけで、極端にあっさりしているので、「麺が入ったワンタンスープ」と言った方がいいかもしれない。その麺は偏平形で白っぽく、あまり味がない。モチモチせず、ちょっとボソボソする食感。ワンタンは餃子並みに肉がたっぷり入ったものが5個トッピングされていた。ひと口で食べられるサイズではあるが、箸で半分に切って、中にスープを含ませて食べる手もある。ワンタンはは麺・スープと違って、旨みたっぷり。チンゲン菜(のような青菜)で、わずかばかりの彩りが加えられていた。全体的に味が薄いと感じた場合には、各席や厨房脇のカウンターに置かれた各種調味料で調節することが可能。それにしても、これが280円程度で食べられるのはありがたい。値段は全体的に安く、まぜそばスタイルの麻醤麺は40元(≒160円)、魚のすり身団子がトッピングされる魚丸麺は60元(≒240円)だ。毎食こういう店を利用すれば、台湾旅行はかなり安くあげられそうだ。箸はエコ箸で、商品と一緒に配膳される。
  なお、この店のすぐ近くには、同じようなスタイルの「牛大娘」という店もある(未食)。ざっとメニューを見た限り、「花蓮扁食」はワンタン麺と比較的あっさり系のメニューが中心なのに対し、「牛大娘」は牛肉などを使ったこってり系のメニューが中心で、値段もやや高い(とはいえ、日本円換算で200〜350円程度で食べられる)。訪問時には、「牛大娘」の方が圧倒的に賑わっていた。次回台湾を訪問するときには、「牛大娘」にも入ってみたい。


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★市政府駅(台湾・台北MRT板南線)
「富士そば」  実食日:2017/10

  3番出口を出て右へ3分、「新光三越信義天地」のA8館地下2階フードコート。店舗名は「台灣1號分店」。立地に関して、特筆すべき要素が2つある。ひとつは、三越デパートの中にあるということ。台湾の「富士そば」は三越との合弁事業として展開しているので、店舗は三越内にあるのだ。もうひとつは、フードコートスタイルだということ。セルフサービス形式になっていて、これはフィリピンにはなかったパターンだ。というか、三越の中にフードコートがあるという時点で、違和感たっぷりなのだが。有人レジで先払い→その場で待って受け渡し。返却口は、フードコート共通。受渡口の先に箸(エコ箸)や七味などが置いてある。また、箸などと同じ場所にそば湯ポットもある。冷水器も設置されているのだけれど、「水・湯・茶」とボタンが3つあって、どういうわけか「水」を押したらお湯が出てきた。ノズルが赤色になっていた時点で、気づくべきだっただろうか。ちなみに、スタッフは、多少ではあるが日本語を理解できる(人によるかも)。もちろん英語もOK。
  調理が早かったから、麺は茹で置いているのだろう。そばの香りはわりとしっかり感じられる。日本の店舗と同等か、それ以上かもしれない。食感的には、日本の平均的な店舗よりも少し硬く感じた。そば湯は、薄紫がかった色合いで、なかなか香りがよかった。つゆは、カツオ出汁があまり香らず、あっさりしている。フィリピンでもカツオ出汁を弱めてある印象だったが、それ以上に淡く、ちょっと物足りない。メニューはすべて「中」と「大」がある。中=並、大=大盛りと考えていいだろう。価格(以下の記載はすべて「中」の価格)は、かけ(清湯蕎麥麺)が89元(≒356円)、わかめ(海帯芽蕎麥麺)が109元(≒436円)、鶏天(炸鶏塊蕎麥麺)が134元(≒536円)。日本よりもちょっと高いくらいの価格帯だが、台湾の標準的な物価から考えるとだいぶ高い。フィリピンよりはいくらか庶民的かな、という感じ。実食は、特選撰富士蕎麥麺139元(≒556円)。説明するまでもないが、「特撰富士そば」の台湾版だ。トッピングは、きつね・たぬき・温玉・ワカメ・カニカマ。台湾でも、やっぱりカニカマを乗せるのね。きつねは日本の店舗のものよりも厚みがあってフワフワ。噛むと、モッチリした弾力がある。形は正方形。フィリピンのものとは違うね。たぬきは天かすで、揚げ置きでやや湿気り気味。まぁ可もなく不可もなく。ちなみに、フライヤーにはドクターフライが入っている。温玉は、日本で食べるのと変わらない。ワカメは、やや歯ごたえが弱くて柔らかめ。そしてカニカマは、日本の店舗で出しているものよりもやや柔らかい。印象としては別ものなんだけど、台湾にカニカマってあるのかな? 日本から運んでいるのなら、同じものになるはずだと思うのだが。箸はエコ箸。
  総じて、日本で食べる「富士そば」に比べると輪郭がぼやけたような味わいで、ちょっとモヤモヤする。台湾人の好みに合わせている部分と、完全には再現できない部分が、両方あるのだろう。多少なりとも日本語が通じることだし、調味料やそば湯がセルフになっているので、「湯布院本川製麺所」に比べてカスタマイズしやすいという利点がありそうだ。


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★中山駅(台湾・台北MRT淡水信義線・松山新店線)
「富士そば」  実食日:2017/11

  1番出口を出て右すぐの「新光三越2館」の地下1階フードコート。店舗名は「台北南西店」。惜しいね、「台」が「東」だったら、東西南北全部揃うのに。台湾の中では台北市はほぼ北端にあり、台北市の中では中山駅は確かに南西の方にあるのだけれど、「台灣1號分店」から見ればむしろ北西だし、台北駅から見ても真北だし、なぜ店舗名が「南西店」なのか不思議に思っていた。が、行ってみたらすぐに謎が解けた。三越が面している大通りが「南京西路」なのだ。三越デパートの地下、それもフードコート内にあるという点では、「台灣1號分店」によく似た立地。ただ、フードコートの雰囲気というか造りがちょっと違う。台湾南西店は、店舗と客席がちょっと離れているのだ。というか、店の真ん前にも客席があるのだけれど、ここは別店(焼肉店)の専用席になっていて富士そばの客は利用できない。フードコート共用の客席は、富士そばを背に見て右手奥の方になる。受渡方法は、台灣1號分店とちょっと違う。注文口で口頭注文→単品トッピングなどはセルフで皿に取り、有人レジで精算→その場で待って、出来あがった麺を受け取る。日本でいうと、セルフ品の数はだいぶ少ないけれど、「半田屋」みたいな精算方法になっている。日本語が通じるかどうかは、試していないので不明。英語は問題なく通じる。
  南西店では、麺を注文後茹でで対応していた。自動湯切り器を導入している。食感・風味とも日本の店舗と遜色なく、上々の出来栄え。今回はもりそばを注文したので温つゆについては感想を書けないが、冷つゆに関してはしっかりとカツオ出汁が利いたものだった。日本国内の店舗よりもやや薄め(水っぽい)なようにも感じたが、大きな違和感はない。台灣1號分店の温つゆはカツオ出汁があまり香らないものだったので、台湾の店舗では温つゆと冷つゆが根本的に別ものなのではないかと推察。ワサビは練り物で、ちょっと粘り気がある。香り・辛みとも、あまり強くない。ネギは台湾産だろうか、ちょっと乾き気味の青ネギ(白ネギの葉の部分ではなく、万能ネギのような品種)で、繊維質を強く感じた。これは、台灣1號分店の温そばに乗っていたものと同じだろう。メニューや値段は、台灣1號分店と同じ。麺類は中と大がある。中が並、大が大盛りと考えてよかろう(以下の記載は、中の価格)。もり(盛)・かけ(清湯)89元(≒356円)。今回は、もりそばに単品でかき揚げ(30元≒120円)を追加した。かき揚げは、具材のカットが大きいというか粗く、タマネギは外側の茶色く固い部分まで使っている。全然噛み切れないし、上顎の裏に貼りついて大変。外側を捨てるのが勿体ないのなら、せめてもう少し小さく切ってほしい。方や、ニンジンは妙に細かく刻んでいる。かき揚げ全体の嵩は日本の店舗のものよりも高く、5センチほどもある。フライヤーにはドクターフライが入っていて、サクッとした仕上がり。揚げ具合には問題なし。箸はエコ箸。
  困ったことに、返却口が見当たらない。さんざんウロウロした挙げ句、フロアのテーブルを拭いていたスタッフを捕まえて聞くと、「席に放置したままでいい」とのこと。フロアスタッフが片付けてくれるらしい。日本ではこういうシステムのフードコートが一般的ではないから、ちょっと戸惑う。「ごちそうさま」のひと声をかけるタイミングがなくなってしまうこともあり、個人的にはどうも無機質で好きになれないシステムだ。


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★機場第一航廈駅(台湾・台北MRT機場線)
「海瑞●(手へんに貢)丸」  実食日:2017/10

  海外ネタは約1年ぶりなので、改めてのお断りから。海外に関しては、鉄道駅構内(駅舎とひと続きになった建物内及び地下街をすべて含む)にある簡易的な麺類店と、日本国内の簡易的なそば店に関する考察上重要な意味を持つ麺類店(駅ナカ・駅チカに限らない)を、すべて対象とする。
  機場第一航廈駅は、台北発着の国際線の大半が就航している(一部台北松山空港発着もある)桃園国際空港のロビーから機場第一航廈駅へ向かう途中にある。駅とひと続きの建物内なので、対象に含める。細長〜い形状のフードコート内の、わりと駅から近いサイドにある。ベースメニューは、「湯」(肉団子スープみたいなもの。45元≒180円)、「湯麺」(肉団子入りで具だくさんのラーメンチックなもの。95元≒380円)、「新竹炒米粉」(ビーフン炒め。60元≒240円)の3種類。加えて、サイドメニューやらセットメニューやらがたくさんある。本当は湯麺を食べてみたかったのだが、飛行機の遅れで夜遅い時間の到着になってしまい、売り切れていた。やむを得ず、新竹炒米粉を注文。新竹というのは、台湾郊外の地名。台北から見て、空港がある桃園市のさらに先に位置する。ビーフンが有名な街らしい。つまり、メニュー名を正確に訳すと「新竹風ビーフン炒め」ということになる。口頭注文(英語が通じる)の先払い→番号札などはないのでその場で待って受け渡し。困るのは、空港内ということで、大きな荷物で席取りをしている人が多く、それほど混雑しているようには見えないのになんとなく空席が少ない。何も食べずに席だけ利用している(待ち合わせなど?)人も多そうだ。
  ビーフンはかなり細く、水気が少なくてややパサパサ気味。日本国内で食べるビーフンよりも、ちょっと癖が強い感じだ。最初のうちはモサモサして飲み込みづらく感じるが、慣れてくると美味しいと思うようになる。味付けは薄めで、トッピングされる肉味噌のようなものを絡めながら食べないと、旨み不足。肉味噌は、脂身の多い豚肉が使われており、旨みが強いだけでなく少々臭みも伴っている。豚骨ラーメンとかが苦手な人は要注意かも。ほかの具材は、ニラ・モヤシ。結構量があるので、割高傾向の空港内で食べて60元なら文句なし(街なかだと炒米粉は40元くらいの店が多い)。
  困るのは、食器類の返却方法が分かりにくいこと。店舗に持っていったら「あっち」と指さされたが、示す方へ行っても見つからない。フロアに出ていた従業員に聞いて、ようやく返却所(フードコート内の全店共通)にたどり着けた。箸は個包装で、イメージ的にいうと「最初から割られている竹製の割箸」。おおむね満足できる内容で、台湾での最初の一杯としては上々だ。空港にこういう店があるのはありがたいことだ。


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★トゥトゥバン駅(フィリピン・国鉄)
「富士そば」  実食日:2016/11

  フィリピン国鉄のトゥトゥバン駅、高架鉄道1号線のドロテオ・ホセ駅、そして高架鉄道2号線のレクト駅。いずれも徒歩10分弱かなという場所にある。ひとまず当サイトでは、川を渡らずにアクセスできるトゥトゥバン駅を最寄りとみなす。店舗名は「ラッキー・チャイナタウンモール店」で、同名のショッピングモール内(2階)にある。周辺はいわゆるダウンタウンで、あまり治安がよくないと言われている地域。トゥトゥバン駅方面にはスラム街が広がっているし、ドロテオ・ホセ駅やレクト駅方面は拳銃を使ったホールドアップ強盗などが多いとされる地域。フィリピンに詳しい人にも「歩いて行くのはやめた方がいいよ」と忠告されていた。それでも歩いて行ったのだけれど、ダウンタウンには路上生活者が多く、むせ返るような埃臭さのある街で、道路も歩道も狭くて混雑が激しいので、なんとなく治安があまりよくなさそうだなという雰囲気は感じた。ただ、ショッピングモール内は綺麗で清潔な安全地帯だ。店舗は、フィリピンの6店舗中唯一、間口が完全開放になっている。間仕切りがない店舗はほかにもあるけれど、開口部に一切壁がないのはここだけ。店内だけでなく、表(モール内通路に露出)にもテーブル席がたくさん出されている。ボニファシオ・ハイストリート店の露天席はハエがうるさくてたまらなかったが、こちらは屋内なので衛生面に問題なし。
  ここでは、そばではなくご飯ものをいただいたので、評点については暫定的に「フィリピン店舗の平均」を基本にしつつ、実食したえび天丼(230ペソ)やフリーで置いてある天かすなどから類推してつけている。えび天丼(230ペソ)の具材は、大ぶりなエビ天が3尾と、大葉(のような葉っぱ。妙に丸っこい。フィリピン産の大葉だろうか)の天ぷらが1枚。なかなか豪勢な一杯で、これがきつねそばと同額というのはかなりお得感がある。察するに、そば粉は日本から持ち込んでいるが、ご飯やエビなどはフィリピン産を使用しているため、ご飯ものの方が割安に提供できるのだろう。味覚的にも悪くない。エビ(ブラックタイガーだろうか)自体がプリプリ食感で美味しい。衣にちょっと違和感があったけれど。日本の天ぷらのようなきめの細かさがなく、ゴツゴツしている。揚げながら衣をどんどん足しているような感じ。でも、基本的に美味しい。いけないのは、ご飯の方だ。フィリピンの米が全体的に乾燥肌でモチモチ感がないということは分かっているし、それだけならまだよかったのだけれど、今回出てきた米は半分おかゆのようにベチャベチャだった。明らかに、水加減を間違えている。食べているそばから店員が「味は大丈夫ですか?」と聞いてくるあたり、おそらく失敗した自覚があるんだろうと思う。これはちょっといただけなかった。タレは、デフォルトでかかっているだけでなく、小皿で別途ついてくる。客が好みの味に調整できるようになっているわけだ。それはありがたいのだけれど、このタレが妙に甘く、辛い。なんか、いろいろと極端なんだよね。もうちょっと「塩梅」というものを勉強した方がいいのかなと感じた。エビ自体が美味しいだけに、ちょっと勿体ない。天かすフリーのサービスあり。揚げ具合は、悪くない。ほどよくきつね色で、香ばしさもある。
  続いて、フィリピンにしかないドリンクメニュー「フレッシュ・ダランダンジュース」(80ペソ)を注文。ダランダンとは、フィリピンの国民的柑橘類。青い色をしていて、すだちのように小さい。だけど、淡くて大味。濃縮還元ではない手搾りの100%ジュースなのに、麦茶のようにゴクゴク飲める。これは、果物として食べるよりもジュースにした方が美味しいだろうと思った。ブコジュースほどのインパクトはないが、実用的に飲むのならこちらの方がオススメだ。


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★エドゥサ駅(フィリピン・高架鉄道1号線)
「富士そば」  実食日:2016/11

  最寄り駅は、高架鉄道1号線のエドゥサ駅だが、駅から歩いて30分くらいかかる。タフト・アベニュー駅(高架鉄道3号線)との乗り換え通路ではない方の出口(西側)を出て、線路と垂直方向にひたすら歩き、突き当りにある巨大なショッピングモール「SMモール・オブ・アジア」内。店舗名は、そのまんま「SMモール・オブ・アジア店」。ちなみに、エドゥサ駅は高架鉄道とフィリピン国鉄の両方にあり、両駅間はかなり離れている(徒歩30分くらい)ので注意を。高架鉄道のほうのエドゥサ駅になる。ショッピングモール内といっても、店があるのは建物の外側。これが実は非常にありがたい。なぜなら、フィリピンではショッピングモール(に限らず、スーパーなど大型商業施設はすべて)の各出入口にセキュリティが常駐しており、入場する際には手荷物検査と金属探知ゲートの通過が義務付けられているから。これがたいへん鬱陶しい。くれぐれも、ヤバいものを持って入ろうとしないように。その点、この店舗は手荷物検査なしでたどり着ける場所なので、精神的に楽。
  外観は、ちょっとエキセントリックというか、日本ではあまり馴染みのない構えになっている。強いて言えば、川越店のイメージに近い。ただし、内装は全然違い、外観に輪をかけてエキゾチック。壁には歌舞伎役者などの絵が描かれていて、「うめぇもんくわせてやらぁ」「あたい、腹ァへっちゃったァ」といったセリフ付き。天井からは、「和風シャンデリア」とでも言いたくなるような飾りが吊るされていて、独特な雰囲気。これが、フィリピン人が抱く日本のイメージなのだろうか。歌舞伎役者はともかく、「和風シャンデリア」は日本のどこでも見たことがないのだが。私に言わせれば、これは中国のイメージだ。フィリピン人にとっては、日本も中国もたいして変わらない、ということか。日本に1店舗、この雰囲気の店があったら面白いなぁと思った。日本では食券制・セルフサービスの「富士そば」だが、フィリピンではフルサービスのレストランになっている。店頭に立っている案内係に声をかけて、席に案内してもらう。テーブルオーダーで、配膳付き。支払いも、テーブル会計。
  フィリピンでの記念すべき最初の一杯は、日本にはないメニュー・キス天もりそば。値段は、230ペソ。1ペソがだいたい2.5円くらいなので、日本円換算で600円弱くらい。高いね。しかも、フィリピンの物価は全体的に日本よりもだいぶ安い(高架鉄道1号線の初乗り運賃が15ペソ≒40円くらい。国鉄はもっと安い)ので、余計に高く感じられる。なるほど、これは庶民には手の届かない高級グルメだ。さて、味の方はいかに。麺は、意外にもクセがなく、日本の店舗とそんなに大差のない出来栄えだった。日本からミックス粉を送っているのだから当たり前といえば当たり前だが、結構美味しい。強いて違いを言えば、日本の店舗よりも少し麺が太くて固いかな、というくらい。これは製麺機の機種違いによる誤差だろう。学生時代にエジプトで食べた「なんちゃって和食店」のそばよりも、はるかに美味しかった。つゆも、まったく違和感なし。ちゃんとカツオ出汁が利いている。ただし、天ぷらはちょっと違う。フライヤーが違うのか衣が違うのか、それとも技量の問題なのかわからないが、衣が固く、バリバリとした食感だった。これはこれで悪くないのだけれど。キス天は、やや小ぶりなキスが2尾。単に衣をつけて揚げただけという感じではなく、一度揚げてからまた衣をつけて二度揚げしているのではないかと感じる食感だった。
  最初の1軒目ということで、細かい点にも言及を。ネギは、日本のネギほど質がよくない。細くて柔らかく、あまり辛みがない。薬味としての存在感が薄いばかりか、ちょっと古くなったような印象を受ける(フィリピン産のネギはこういうもので、鮮度落ちではないらしい)。各席に天かすが置いてあり、フリー。これはフィリピンの全店舗でやっているサービスだが、これをちょっとつまむだけでも店舗間の技量の差が見て取れる。なかなかスタンダード化は難しいようだ。ちなみにこの店舗の天かすは、ややオーバー美味の揚げできつね色。香ばしく、悪くなかった。ワサビは日本から送っているのだろうか、特段変わったところはなかった。箸は竹製の割り箸で、ビニールに入っているうえ、さらに紙の箸袋に入っている。二重包装。
  注意したいのは、テーブルチャージ(サービス料)が発生するということ。キス天もりそばが230ペソだからといって、230ペソきっかりで支払おうとすると、ちょっと恥をかくかもしれない。指をパチンと鳴らすと店員がバインダーに挟んだ請求書を持ってくるので、それにお金を挟んで店員に渡す。慣れないとなかなか馴染めない精算スタイルで、私も最初の2回くらいはバインダーを持って店の出口に向かい、席に連れ戻されるという恥ずかしい思いをした。
  客層は、フィリピン人が多い印象。フィリピン在住の日本人が多く食べに来ているのかなと思っていたが、日本人にはあまり出会わなかった。たまたまだろうか。ちなみに、フィリピン人も器用に箸を使って食べているが、あまり勢いよくすすりこむことはしないようだ。総じての印象としては、思っていたよりも美味しかったし、居心地もよかった。最初だけ精算方法が分かりにくかったのと、英語があまり通じない(なまりが強く、聞き取れない)のだけがマイナスに感じたポイントだ。まぁ、英語のなまりが強いのはフィリピン全土に言えることだと思うので、これは仕方ないか。

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★ブエンディア駅(フィリピン・高架鉄道3号線)
「富士そば」  実食日:2016/11

  エドゥサ駅と同じように、ブエンディア駅もまた高架鉄道3号線とフィリピン国鉄の両方にある。そして両駅間は、3km以上離れている。「富士そばSMオーラ店」は、高架鉄道3号線のブエンディア駅が最寄りとなるが、それでも徒歩40分くらいかかる。間違って国鉄のブエンディア駅から歩くと1時間半くらいになるので、くれぐれも間違いなきよう。というか、この店に歩いて行こうとするのは私くらいのもので、旅行者ならタクシーで行くのがセオリー。店がある辺りは高級住宅地で比較的治安が良い(透明アクリルケースの募金箱が町じゅうに設置されているくらいなので。ダウンタウンだったら入れたそばから略奪されるだろう)エリアではあるのだけれど、駅からの道中には歩道がないところがちょいちょいあるし、ちょっと危なっかしいムードのエリアも通るので。マニラ随一の高級住宅地で、日本でいうところの六本木ミッドタウンのような場所「ボニファシオ・ハイストリート」を抜けた先、観光客も多く訪れる「マーケット!マーケット!」の前を右に折れた先、左手にあるショッピングモール「SMオーラ」内にある(地下1階)。建物内なので、セキュリティチェックの通過が必要。くれぐれも、ヤバいものを持っていかないように。外観は、光る文字看板にずらり並んだメニューサンプル。なかなかけばけばしい。例によって、店頭の案内係に声をかけて席へ通してもらい、テーブルオーダー&テーブル会計。内装は、これまた例によって「なんちゃって和風」。
  フィリピンの富士そばはこれで3軒目で、これまでの2軒でもり系・かけ系を実食してきたので、ここではぶっかけ冷やし系を。しかし、冷やしきつねそばを注文したものの、諸事情で扱い停止中だった(詳細は拙著『愛しの富士そば』を参照してください)。こういったイレギュラーのやり取りが発生すると、英語が若干通じにくいのが辛く感じる。店員さんは「Not Available」と言っていたらしいのだが、私の耳には「らぱぺらぽー」としか聞こえない。3回か4回くらい、同じやり取りを繰り返してしまった。仕方なく、冷やしオクラとろろそばに変更。値段は、230ペソ(≒600円)。麺は、先の2店舗と同じ食感・風味。問題なく美味しい。つゆは、カツオ出汁がしっかりと感じられた。かけ系よりももり系のつゆに寄せてある。とろろは日本から運んでいるのだろうか、まるっきり違和感がなかった。しかし、オクラは明らかに日本のものとは違った。形が、丸いんだよね。日本で食べるオクラは断面が星形をしていることが多いのだけれど、ここで食べたものはほぼ正円形だった。味は日本のものと大差ないのだけれど、食感が違うのでちょっと違和感があった。おそらく、オクラはフィリピン産を使っているのだろう。ワカメ入りで、ワサビ付き。飲み水は、SMノース・エドゥサ店で出たものよりもだいぶ薄い麦茶。店内で煮沸して煮出している麦茶だと思われ、濃すぎるとエグミが出るので、このくらいでいいと思う。天かすフリーのサービスあり。色白・揚げアンダー気味で、香ばしさがなくイマイチだった。
  総じて、ソツなく仕上がっている一杯で、悪い印象はなかった。が、これといって良い印象もなく、また立地的なインパクトも弱いし、食べたメニューも「フィリピンらしさ」が薄いものだったので、フィリピンで実食した6店舗の中でもっとも記憶に残らない店舗だった。「らぱぺらぽー」が強烈だったから、そのほかの味や雰囲気などが霞んでしまったという部分もあるかもしれないけれど。


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「富士そば」  実食日:2016/11

  高架鉄道のブエンディア駅から徒歩40分ほど。店舗名は「ボニファシオ・ハイストリート店」で、フィリピンの第1号店になる。上記「SMオーラ店」から比較的近い(徒歩10分ほど)ところにある。ボニファシオ・ハイストリートは、フィリピン随一の高級住宅地にあるグリーンベルトで、空が広くて心なしか空気もきれいなところ。近くには、フィリピンでは珍しい飲み物の自販機や、アクリル製の透明募金箱などがある。これらを見ただけで、治安の良さが分かる。ダウンタウンではありえない光景だ(すぐに略奪に遭うだろう)。なので、2店舗が接近していながらも、ボニファシオ・ハイストリート店が「表」で、SMオーラ店が「裏」というイメージになってしまう。また、ボニファシオ・ハイストリート店は、フィリピンの6店舗の中で唯一、単独で存在している(ショッピングモール内ではない)店舗でもある。だから、セキュリティチェックは不要。これがありがたい。客席はテーブル席ばかりで、建物の外にもテーブルが出ている。ただし、外で食べているとハエが寄ってくるので注意を。例によって、店頭に立っている案内係に声をかけて席に案内してもらう。テーブルオーダーで、テーブル会計。サービス料が発生する。
  これまでに寄った3店舗でもり系・かけ系・冷やし系と食べてきたので、今回はつけそば系を。注文したのは、日本でも扱う店舗が増えてきている鶏つけそば(280ペソ)。まず気になったのは、他メニューに比べて麺の量がだいぶ多いこと。つけそば系はこれがデフォルトなのだろうか。1.5倍くらいありそうだ(特殊メニューなので、ボリューム点には加点しない)。ついでに言うと、麺にかかっている刻み海苔もだいぶ多い。口の中がモサモサになるので、これは多ければいいというものではないような気がするが。1/3でいいと思う。味覚的にも、そばの香りよりも海苔の香りの方が勝ってしまうので。つけ汁は、鶏モモのブロック肉がゴロゴロ入っていてボリューミー。ちょっと味が薄いかなという気はしたけれど、まずまず。全体的に、味よりも食べごたえの方が印象に残るメニューだった。大食漢の男性は嬉しいかもしれないが、平均的な女性だと食べきれないかも。フィリピンの富士そばには、各席にラー油が置いてあるので、これをかける手もあると思う。麺にかけてもいいし、つけつゆに加えてもいいだろう。つけつゆはデフォルトでややピリ辛仕立てになっているのだけれど、味が薄めでサラサラしているので、ラー油でパンチ力を加えるのもアリだと思うのだ。
  もう一品、日本の店舗にはない、というかまず出せないであろうドリンクメニュー「フレッシュ・ブコ・ジュース」(80ペソ)を。これは、ココナッツ(フィリピンでは「ブコ」と呼ぶ)の実をひとつまるごと提供するもので、皮をそぎ落として穴をあけ、ストローを刺しこんだだけのワイルドな状態で出てくる。中の液体を飲み、希望があれば割ってもらって中身を食べることもできる。ただ、ジュースはそれなりに甘みがあって美味しい(味の薄いメロンかスイカみたいな感じ)ものの、実のほうはほとんど味がない。白い杏仁豆腐のような、コンニャクゼリーのような、グニグニとした食感で、好き嫌いが分かれそう。6店舗を歴訪した中で、フィリピン人が注文しているのを何度か見かけたが、中身を食べている人は見かけなかった。フィリピンは暑くてのどが渇くので、個人的には気持ちよかったのだが。まぁ、日本人が旅行中に注文すれば、最高の話のタネにはなるだろう。インスタ映えを狙うなら、中身まで食べた方がいいと思う。


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★オルティガス駅(フィリピン・高架鉄道3号線)
「富士そば」  実食日:2016/11

  駅を出て南(シャウ・ブールバード駅方面)へ3分、左手の細長いショッピングモール「SMメガモール」内(北棟2階)。店舗名は、そのまんま「SMメガモール店」。シャウ・ブールバード駅からでも徒歩5分ほどなので、タフト・アベニュー方面から行く場合でオルティガスまで乗ると運賃が一段階上がるようであれば、シャウ・ブールバード駅から行く手もある。駅からとても近いので、電車+徒歩で行くのならこの店舗がオススメというか、楽に行ける。ただし、建物の中なので、セキュリティチェックがあることをお忘れなく。例によって店頭に立っている案内係に声をかけて席に案内してもらう形式なのだけれど、この店舗は吹き抜けになったエスカレーターの脇にあり、店舗前がちょっと狭い。この状況だと案内係に声をかけづらいと感じるのは、私だけだろうか。おまけに、光る文字看板に、ノース・エドゥサモール店にも増して多く並んだ、けばけばしいメニューサンプル。ちょっと近寄るのもためらわれてしまうのは、私だけだろうか。
  ここでは、まずかつ丼(180ペソ)をいただいた。ラッキー・チャイナタウンモール店で食べたえび天丼よりもさらに安い設定。これはフィリピン富士そばの最強メニューかも(日本の店舗でもかつ丼が一番の売れ筋だが)。ボリューム的にも、日本の店舗のものよりもだいぶ多い。ご飯も多いし、肉も多い。肉など、日本の店舗の1.5倍くらいあるのではないだろうか。それほど肉厚という感じではない(日本の店舗と同じくらいの厚さ)けれど、表面積が大きい。玉子とじは、白身と黄身を完全には混ぜないスタイルで、日本の店舗でのマニュアルに沿って調理しているものと思われる。ただ、ちょっと卵が茹だりすぎかな。ふわとろ食感が失われ、やや固くなっていた。米は、やはり乾燥肌。わりとつゆだくなだけに、なおのこと米の違和感が際立っていた。この手の米は、「つゆだく」には向かない。どちらかというと、パラパラチャーハンの方が向く米。フィリピン産の米を使う以上、これは避けられない部分か。米が私の舌に馴染まないこともあるのか、途中で少々飽きが来る。後半で味を変えられるようなひと工夫があってもいいのかなと感じた。テーブル上のラー油をかける手もあるか。
  続いて、日本の店舗では絶滅してしまった「そば茶プリン」(80ペソ)を。小さなグラスで作ったスイーツで、あっさり味のミルクプリンにそば茶風味のジュレを乗せたもの。仕上げに玄米を散らして、香ばしさを演出している。とても美味しい。フィリピンでは、甘いものはとことん甘い傾向があるので、このようなあっさりしたスイーツが新鮮だった。日本で出すのなら、もう少し甘みを強めた方がいいのかなと感じるけれど。天かすフリーのサービスあり。やや色白で香ばしさが弱く、揚げアンダーを連想させる。なお、この店舗ではそばを食べていないので、味の評点はフィリピンの店舗の平均+かつ丼やフリーの天かすからの類推でつけている。ご理解を。


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「KOMORO Japanese Dining」  実食日:2016/11

  駅を出て南方向(シャウ・ブールバード駅方面)へ3分、細長いショッピングモール「SMメガモール」の北棟2階。店名から推して分かると思うが、「小諸そば」のフィリピン店舗だ。「富士そば」よりもだいぶ早く、なんと1992年にフィリピンに進出している。立ちそば海外進出の草分けと言っていいだろう。すぐ近くに上記「富士そば(SMメガモール店)」がある(しかも同じ建物の同じフロア。両店間の距離は50mほど)わけで、国内だけでは飽き足らずフィリピンでもバチバチやっているのかと言いたくなるところ。しかし、どうも両店の客層はだいぶ違うようだ。「富士そば」はフルサービスの高級志向店であるのに対し、「KOMORO Japanese Dining」はやや簡易的な店舗になっている。有人レジで口頭注文・先払いして、番号札を受け取り、任意の席で待っていれば配膳してくれる。日本でいうと、混んでいるときのマックみたいな受渡し方。下げ膳は不要(席に放置したまま退店する)。半セルフサービスといったところだ。値段的にも、「富士そば」の半値に近い。だから、「富士そば」に比べて客数がとても多い。だから儲かっているのかというとそうとも言い切れない部分がある(客単価が安く利ざやが薄いので)が、賑わっていることは確かだ。
  今回は、かき揚げそばミニかつ丼セットを注文。麺は、国内店舗よりもちょっと固いだろうか。色合い的にもグレーがちょっと濃く、モチモチ感が弱い。国内店舗とは違う麺ではないかと推察。つゆも、国内の「小諸そば」とはちょっと違う。色がだいぶ濃いというか漆黒系で、醤油のコクがかなり強く感じられる。出汁感・甘みはそれほど強くない。おそらくフィリピン人の好みに合わせた調味なのだろうと思う(「富士そば」も出汁感を弱めていそうな味なので、フィリピン人はあまり強いカツオ出汁を好まないのだと推察)のだけれど、日本の立ちそばで食べ慣れている人にとってはちょっと物足りなさも覚える。かき揚げは、円筒形でわりと高さのあるもの。カラッと揚がっていて油切れも悪くない。一見、まともに見える。ただ、具材のカットが雑。タマネギは大きいのと小さいのが混在していて食感がバラバラだし、どういうわけか長ネギが入っていて、10cmくらいの長さのものもみられた。フィリピンの長ネギはくたっとしていて「噛み切れない・繊維歯に挟まり系」なので、10cmもあるといつまでも口の中でクッチャクッチャして不快。ちょっと改善の余地ありだ。一方のかつ丼も、まず見た目でだいぶ損をしている。盛り付けが丼の中で派手に偏っているし、丼の縁にご飯粒がくっついているし。味は特段問題ない(卵がだいぶ固かったけど)ので、あとちょっとの気遣いで印象が大きく上がると思う。
  値段は、かき揚げそば単品で122ペソ、ミニかつ丼とのセットで190ペソ。これでもフィリピンの物価を考慮するとだいぶ高いのだけれど、「富士そば」に比べればかなりリーズナブル。「富士そば」のような、極端な変わりメニューは見当たらない。わりとオーソドックスなラインナップだ。細かい点に言及すると、飲み水が面白い。いや、普通の水なのだが、汲み方が面白い。巨大なクーラーボックスに氷がたくさん入っていて、客がクーラーボックスを開けて氷を取る。あとは、ディズペンサーで水を注入するだけ。日本でいうとファミレスのドリンクバーみたいな感じなのだけれど、氷が入っているクーラーボックスの大きさがまるっきり違う。1mくらいあるのだ。「魚市場とかで使うやつなんじゃないの?」とツッコみたくなる。出入りの業者になったような気分を味わえた。
  いろいろ辛辣なことも書いたが、総じての印象は、悪くない。安め設定も気に入った。「富士そば」のラグジュアリーな感じも悪くないが、頻繁に食べに行くなら「KOMORO」を選ぶだろう。フィリピンにもう何店舗かあってもいいのではないかな、と思った。「富士そば」と過度な競争をするのではなく、同郷のチェーンとして仲良く共存してほしいと思う。


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★ノースアベニュー駅(フィリピン・高架鉄道3号線)
「富士そば」  実食日:2016/11

  高架鉄道3号線の北側の終着・ノースアベニュー駅。終着ではあるのだけれど、線路自体はその先にも続いていて、高架鉄道1号線の北側終着・ルーズベルト駅につながっている。1号線と3号線は南側もエドゥサ駅とタフト・アベニュー駅で接続しているので、南北それぞれがほぼつながって、マニラ市内をぐるっと回る山手線のような形になっている。ただし、相互乗り入れはなく、それどころか運賃系統も別になっていて、乗り換える時には新たに切符を買い直さなければならない。これは不便だ。3号線のノースアベニュー駅を出て、ガードに沿った長い歩道を歩いていくと、大きな道に出る。その向かい側にあるショッピングモール「SMノース・エドゥサ」内に、富士そばがある。だから、店舗名は「SMノース・エドゥサ店」。駅から歩いて4分くらいだから、特例を適用せずとも当サイトの対象になる立地で、利用しやすい。ここまで書いたら、聡明な読者なら「南と北の端っこなのに、両方“エドゥサ”なのは何故?」と思うだろうか。これは、海外によくある「道路名から名付けた駅名・地名」だから。SMモール・オブ・アジア前から東へ北へ、高架鉄道3号線に沿って続く大通りが「エドゥサ通り」なのだ。日本でたとえるなら、甲州街道に沿った場所に「甲州」と名付けるような感じ。三宅坂あたりが「東甲州」で、新宿あたりが「甲州」、高井戸あたりに「西甲州」と名付けるようなイメージだ。この店舗はショッピングモールの中(1階)にあるので、わずらわしいことにセキュリティチェックを受けなければならない。くれぐれも、ヤバいものを持っていかないように。この店舗の外観は、「富士そば」の文字看板が光っていないだけおとなしいように感じるが、一方では入口脇にずらっと並んだメニューサンプルがけばけばしくも感じる。内装は、SMモール・オブ・アジア店と大差なし。やはり、日本人から見ると「???」な、なんちゃって和風の造りになっている。店内のほか、外(モール内通路に露出)にもテーブル席がある。厨房は一部ガラス張りになっていて、全体ではないけれど厨房内が少し覗けた。こういう造りになっているのは、この店舗だけのようだ。テーブルオーダーで、テーブル会計。サービス料が発生するのも「SMモール・オブ・アジア店」と同じ。例によって店頭に立っている案内係に声をかけて席に案内してもらうのだが、フィリピンの6店舗全部を訪問した印象としては、この店舗の案内係がいちばん愛想よかった。店舗特性というよりも従業員特性だと思うけれど。
  ここでは、肉富士そば(260ペソ≒650円)を食べてみた。今回は温そばということで、もりそばに比べると幾分麺はやわらかく感じられた。つゆは、もりつゆほどカツオ出汁が香らない。これは日本のつゆとはだいぶ違う。どうやら、出汁を少し弱めてあるようだ。トッピングは、肉・温玉・焼き海苔・ワカメ。これも日本の「肉富士そば」と同じ……と思いきや、肉が別物だった。なんと、豚肉ではなく牛肉を使っていた。これはこれで美味い。焼き海苔がちょっとしんなりしているとか、温玉の白身がベチャッと広がっているとか、些細な違和感はあったものの、日本の富士そばで食べ慣れている人でも美味しく食べられるものだった。飲み水は、水と麦茶が両方出てきた。片方だけでいいような気もするが、フィリピンは一年中暑くてのどが渇くので、まぁありがたく。天かすフリーのサービスも健在。ここの天かすは、揚げ方がアンダー気味で、色白。香ばしさ・食感ともイマイチだった。SMモール・オブ・アジア店と比べると、揚げの技量には少々差があると見受けた。箸は竹製で、二重包装。
  総じて、まずまず悪くない印象。SMモール・オブ・アジア店との比較は難しい(食べたメニューが違うので)けれど、フィリピン富士そば2回目の実食で多少慣れもあったためか、こちらの方が後味は良かったか。訪問順が逆だったら、印象も逆になったかもしれないけれど。


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