評価基準について

  当サイトでは、私独自の基準を用いて各店舗の評価付けを行っています。各要素をそれそれ個別に数値(得点)化し、合計点を算出しています。これは、あくまでも私の個人的な見解であり、専門的でも普遍的でもない評価だということを最初におことわりさせていただきます。また、評価は基本的に「私が行ったその時その一杯」に対して行っています。したがって、私に出された一杯が、たまたま麺の湯通しを手抜きしたものであれば「味」の減点対象になりますし、たまたまつゆが多めに入れば「ボリューム」の加点対象になります。たまたま店内が汚れていれば「衛生」の減点にもなります。さらに言うと、直感で評価をつけている項目もありますので、「味」などは、その日の私の体調なんかも影響しているかもしれません(していないつもりですが、なにしろソムリエの肩書きを持っているわけではないので)。そのためもあり、一般的な見解とは一致しない評価になることも、屡々です。本当は、日を変えて10回くらい食べに行き、平均を割り出して評価するのが理想的なのだと思いますが、そこまではとてもできません。

  評価は、グラフゲージで表しています。色別された各項目は、「赤:味、橙:ボリューム、黄:値段、緑:衛生、青:サービス、紫:付加価値、白:合計」を示しています。基本的に全項目5点が最高点ですが、突出している場合には6点以上をつけることもあります。また、基本的に全項目1点が最低点ですが、付加価値(紫)に関しては0点もあり得ます。0点の場合は、紫のゲージがありません。点数に合わせてグラフゲージの長さを変えていますので、数字を読まなくても一目でどの程度の評価なのかが概ね分かるようになっています。グラフが長ければ長いほど、評価が高いということになります。
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  たとえば、上図のような評価になった場合、味は最低、ボリュームいまいち、値段は平均的、衛生面良好、サービス満点、付加価値超最高! という意味です。

  各項目の評価については、一応の基準を設けています。もしかすると、古い記事の中にはこの基準が当てはまっていないものもあるかもしれませんが、現在はこれに基づいて評価値を算出しています。

1:味
  本当は麺・つゆ・具材それぞれを個別にポイント化した方がいいのかもしれませんが、煩雑になるうえ、麺とつゆとの相性・バランスなども加味しているため、全体の出来映えに対して評価をつけています。デフォルト3点から、加減式に点数を算出しています。
  麺に関しては、風味を第一優先事項とし、次いで歯触り・舌触り・喉ごしを重視します。「コシ」は歯触りの一部として評価の対象になりますが、必ずしも「コシがある=加点」となるものではありません。全体のバランスを乱すコシの強さが、かえって減点対象となることもあります。
  つゆに関しては、出汁が利いているかどうかを第一優先事項とし、次いで余韻(深み)、香り、甘さ・辛さのバランス、麺や具材との相性を重視します。「化学調味料」に関しては、特に言及しない方針です。大量に使用していても、「美味い」と感じれば高い評価になります。私は、駅そばの味覚的評価をもっとも強く左右するのは、つゆではないかと考えています。つゆだけを意識的に重視しているわけではありませんが、これまでの評価を振り返ると大きな影響力を持っています。麺がいまいちでも5点がつくことはありますが、つゆがいまいちで5点がつくことはほとんどないようです。
  具材に関しては、一応はたぬきをデフォルトにしているのですが、たぬきを扱わない店もありますし、気まぐれに別のメニューをオーダーすることもあるので、普遍的に評価することが難しいです。そのため、あまり強い影響力を持たせないことにしています。せいぜい、±1点以内です。ただし、突出している店(6点以上または1点の候補)については、それなりに影響力を持たせています。画竜点睛を欠けば8点→6点のように2点くらい下がりますし、具材だけでも救いがあれば最低点を免れる決め手になり得ます。


2:ボリューム
  麺やつゆの重量を量っているわけではありません。食べてみての実感をもとに評価しています。基本的に食後の満足感・満腹感を重視しています。したがって、重量的には同じであっても、麺の質の違い等によって評価が分かれることがあります。腹にズシッと溜まるタイプの麺は、高得点になりやすいです。ただし、繰り返しますが量っているわけではないので、デフォルト3点から上下することはあまり多くありません。5点以上または1点がついている場合には、見た目に多い・少ないが分かるようなレベルになっています。


3:値段
  基本的にたぬきそばの値段を対象にしています。270円未満が5点、300円未満が4点、330円未満が3点、360円未満が2点、360円以上が1点です。たぬきそばを扱っていない店の場合は、きつね→わかめ→月見の優先順位でピンチヒッターを起用します。ただし、たぬきそば(またはピンチヒッター)がとりわけ安いまたは高い値段設定になっている店では、他のメニューとのバランスを加味することもあります。また、関西地区で特に多い「揚げ玉入れ放題」の店については、かけそばをたぬきそばの値段と見なすのではなく、ピンチヒッターを起用した上で「サービス」に加点することにしています(ただし、古い記事の中には「かけ=たぬき値段」で点数をつけている店もあるかもしれません)。また、曜日等限定価格やタイムサービス等も、この項目では無視(通常価格で評価)し、代わりに「サービス」の加点材料としています。


4:衛生
  「食の安全」が取り沙汰されることが多いご時世です。私個人としてはそれほど大きなウェイトを占める項目ではないのですが、この情報を必要としている人も結構いるのではないかと思い、評価の対象に含めています。評価のポイントは、大きく分けると2点です。1つは、「食の安全」という意味での衛生面。もう1つは、厳密には「衛生」とは言わないのですが、快適性です。両者合わせて、デフォルト3点から加減式に点数をつけています。
  安全という見地から重要視しているのは、食券制か現金制かということです。食券制(または厨房外に有人レジを設けている)の場合、衛生に2点以下がつくことは稀です。現金制の場合は、現金を扱った後で従業員がちゃんと手を洗っているかどうかをチェックします。洗わない場合、ピカピカに綺麗な店でも3点以上にはなりません。食材の扱いもチェックします。ネギなどを手掴みする場合は、それだけで−1点となります(麺に関しても減点対象ですが、その後湯通しをキッチリやっていれば減点幅は微小です)。その他、厨房内や客席の汚れ・整理整頓されているかどうか、返却口に丼がたくさん放置されていないかどうかなども加味します。もちろん、ハエがブンブン飛んでいれば減点です。さらに、厨房内での従業員同士の私的会話も、度が過ぎればそれだけで1点引くことがあります。
  快適性という見地からは、まず大事なのは座席があるかどうかです。立ち食い専門の店では、衛生に5点がつくことはまずありません。ただし、座席があっても、座席間隔が妙に狭いとか、ネジが緩んでいてグラグラするとか、座るとカウンターの高さが合わなくなって食べにくいなどという場合には、立ち食い相当の評価となります。また、露出店(店内外の間に間仕切りがない店)は、基本的に4点以上がつくことはありません。したがって、食券制の露出店は、よほど大きな加減材料がない限り、自動的に3点がつきます。これらの事項に加え、カウンター・座席の配置、冷水機があるかどうか(その利便性も含む)、照明、BGM、店内装飾などの要素も若干加味します。


5:サービス
  数値化が難しい項目ですが、独断で点数を算出しています。デフォルトは3点。分かりやすいのは、卵無料サービスとか、麺大盛り無料サービスなどです。曜日・時間帯限定でも加点します。ただし、単発キャンペーンで継続的でないものについては、加点しないこともあります。フリー食材も、ポイントが高いです。ネギ、揚げ玉、鰹節などが好みに合わせて入れられる店は、それだけで+1点以上の加点になります。そばに載せるものだけでなく、梅干しや漬け物なども対象になります(ただし、唐辛子やワサビ、紅生姜など、通常単体では食べないものを除く)。また、サービス券配布、スタンプカード制導入等についても、加点材料となります。細かいポイントとしては、サービストッピング(デフォルトで入るワカメ・揚げ玉・カマボコなど)、そば湯ポット設置(申し出制の店は加点しない場合あり)、盆・レンゲ等の常備、ネギ別盛り、飲み水に麦茶やウーロン茶使用、トイレ完備、ティッシュや台拭き常備など、多岐に渡ります。特に印象に残れば、従業員の接客態度や言葉遣いも加点材料となります。
  一方、マイナス材料もたくさんあります。ありがちなのは、従業員の悪い態度。言葉遣いが不遜だとか、従業員同士で傍若無人に私語を繰り返しているとか、冷水機がないのに飲み水は申告しないと出てこないとか、唐辛子や割り箸が空になっているのに補充しないとか、ミス(オーダー誤認など)したのに謝らないとか、客そっちのけで携帯をいじっている(冗談ではなく、地方に行くとたまに見かける光景です)とか、最悪な例としては厨房内でタバコを吸っているとか(それだけで1点確定です)。サービスに2点以下がついているときは、従業員に何らかの問題がある場合が多いです。

6:付加価値
  味・ボリューム・値段・衛生・サービスのどれにも含めることが難しい加点材料については、この項目でフォローしています。したがって、この項目だけはデフォルト0点で、加点する一方です。とにかく大事なのは、オリジナリティを発揮しているかどうかです。よくあるのは、特殊メニューの設定。創意工夫に富んだ店舗オリジナルメニューを用意していると、高いポイントがつきます。また、サービストッピングでも、他店ではあまり見かけない食材を用いている場合には、サービスだけでなくこの項目にも加点します。実際にあった例を挙げると、あご(トビウオ)のちくわ、椎茸煮、水菜、薩摩揚げなどです。「小諸そば」のように、季節に応じたサービストッピングを乗せるのも高ポイント。ただし、内容によっては、これらのサービストッピングによって「味」が減点されることもあります(麺やつゆに合わないと感じた食材の場合)。
  この他にも、様々な要素があります。麺に対するこだわり、つゆに対するこだわり、具材の産地に対するこだわり、使用している水へのこだわり、店長の趣味が全面に出たような店内意匠、丼や割り箸へのこだわり、唐辛子を3種類用意、こだわり自家製天ぷらを10種類用意、24時間営業、厨房内に製麺機を入れて製麺シーンを見学できる、などなど。とにかく、私に「オリジナリティに富んでいるな」と思わせた材料は、すべて加点対象になります。したがって、多くの面でオリジナリティが見られれば、この項目だけで10点以上がつくこともあり得ます。
  また、店内外に掲示してある貼り紙の類も、可能な限りチェックしています(行き届かない部分が多いですが)。加点材料としてはあまり強くありませんが、そば粉の産地・割合等の情報開示、各メニューのカロリー表示、各種ウンチク書きなども印象に残ります。基本的に口頭での聞き込みは行わない(仕事での公式取材や、雑談の中で偶然話が聞けた場合を除く)方針ですので、駅そば経営者様におかれましては、アピールできるポイントは、貼り紙掲示などの手段を用いて、どんどんアピールしていただければと思います。


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